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人類の祖先は、毒を食べてエネルギーを得るモンスターだった!?

2019年04月08日 公開

稲垣栄洋(生物学者)

酸素は、実は「猛毒」!

「敗者」というと、戦いに敗れた弱い存在、みじめな存在だと考える人が多いだろう。だが、38億年に及ぶ生命の歴史の中では、むしろ強者こそが先に滅び、敗者のほうが生き残ってきたと、新著『敗者の生命史38億年』を上梓した植物学者の稲垣栄洋氏はいう。中でも、厳しい環境を強みに変えてきた「モンスター」こそが、我々の祖先なのだという。

 

SFの世界から誕生した今の人類

核戦争後の地球。

豊かだった大地は放射能で汚染され、人類は滅亡の危機にさらされた。

わずかに残った人類は放射能の届かない地中深くに逃れ、どうにか生き延びるより他ない。

驚くべきことに、すべての生命がいなくなったかにみえた地上には、充満した放射能からエネルギーを吸収するように進化を遂げた新たな生物が地上を支配しつつあった……まさにSFの世界。

しかし、これとよく似た話が、かつて地球に起こったのである。

まさか古代文明が、地下に逃れて地底人となったという話ではあるまい。

実はこれこそが、人類や植物の誕生につながるのである。

 

酸素という「猛毒」はなぜ現われたのか

私たちの生命の維持に欠かせない酸素だが、本来は、猛毒のガスである。

酸素はあらゆるものを酸化させて錆びつかせてしまう。鉄や銅などの丈夫な金属さえも、酸素にふれると錆びついてボロボロになってしまうのだ。

もちろん、生命を構成する物質も、酸化して錆びついてしまう。酸素を必要としている私たち人間の体でさえも、酸素が多すぎると、活性酸素が発生して老化が進むと言われている。

このように酸素は、生命をおびやかす毒性のある物質なのである。

古代の地球には「酸素」という物質は存在しなかった。ところが、27億年前に、突如として「酸素」という猛毒が地球上に現れる。

この事件は「大酸化イベント」と呼ばれている。

どうして、酸素がまったく存在しなかった地球に、酸素が出現したのか。これは大いなる謎である。しかし、その理由として「シアノバクテリア」という怪物の出現が考えられている。

シアノバクテリアとは、いったいどのような生物なのだろうか。

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シアノバクテリアという「ニュータイプ」の登場 >



著者紹介

稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)

植物学者

1968年静岡県生まれ。静岡大学農学部教授。農学博士、植物学者。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て現職。主な著書に『身近な雑草の愉快な生きかた』(ちくま文庫)、『植物の不思議な生き方』(朝日文庫)、『キャベツにだって花が咲く』(光文社新書)、『雑草は踏まれても諦めない』(中公新書ラクレ)、『散歩が楽しくなる雑草手帳』(東京書籍)、『弱者の戦略』(新潮選書)、『面白くて眠れなくなる植物学』『怖くて眠れなくなる植物学』(PHPエディターズ・グループ)など多数。

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