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「明らかに能力の劣った」人類が、ネアンデルタール人に勝てた理由

2019年04月11日 公開

稲垣栄洋(生物学者)

アフリカに留まりつづけた我々の子孫

私たち人間は、生物学上の名前は、ホモ・サピエンスである。

ホモ属の生物が地球に出現したのは、400万年前のことと考えられている。それ以来、さまざまなホモ属の人種が生まれては滅んでいったと考えられている。

私たちホモ・サピエンスが登場するのは、ホモ属が登場してから、ずっと後の20万年前のことである。

同じ時代には、ホモ・サピエンスのライバルとなるホモ・ネアンデルターレンシスがいた。いわゆるネアンデルタール人である。

人類の祖先はアフリカで生まれたとされている。ネアンデルタール人は、およそ35万年前にアフリカ大陸を出た人類の子孫である。それに対して、およそアフリカに留まった人類が、やがてホモ・サピエンスとして進化をしていく。

 

寒い場所の生物ほど巨大になる

早い時期に寒冷な地方に進出していたネアンデルタール人は、大きくてがっしりとした体を進化の中で獲得していた。

熱帯に棲むマレーグマに比べて、寒冷地にいるヒグマは巨大で、北極に棲むホッキョクグマはもっと巨大になる。寒い地域では大きい体の方が体温を保つために有利なのである。

このように寒冷な地域で生物が大型化する現象はベルグマンの法則と呼ばれている。

寒い地域に発達を遂げたネアンデルタール人も、強靭な力を持つ大型の人類であった。

これに対して、アフリカで生まれたホモ・サピエンスは体も小さく力も弱かった。

このホモ・サピエンスがやがて、アフリカの外へと進出していく。そして、ネアンデルタール人と出会うのである。

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力に優れ、知能も高かったネアンデルタール人はなぜ滅びた? >



著者紹介

稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)

植物学者

1968年静岡県生まれ。静岡大学農学部教授。農学博士、植物学者。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て現職。主な著書に『身近な雑草の愉快な生きかた』(ちくま文庫)、『植物の不思議な生き方』(朝日文庫)、『キャベツにだって花が咲く』(光文社新書)、『雑草は踏まれても諦めない』(中公新書ラクレ)、『散歩が楽しくなる雑草手帳』(東京書籍)、『弱者の戦略』(新潮選書)、『面白くて眠れなくなる植物学』『怖くて眠れなくなる植物学』(PHPエディターズ・グループ)など多数。

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