THE21 » キャリア » <連載第1回>日本人の会議に絶対的に足りない2つのこと

<連載第1回>日本人の会議に絶対的に足りない2つのこと

2019年04月15日 公開
2023年03月07日 更新

戸塚隆将(ベリタス代表取締役)

結論と根拠の間に「矢印」を置く

結論と根拠のあるべきつながりは、「根拠→結論」という具合に「矢印の関係」で表現されます。この矢印の関係こそが、論理的に考え、話すということです。

世間にあまたあるロジカルシンキングに関する本を開くと、MECE(ミーシー:課題を漏れなく、かつ、重複なく分解する論理思考のアプローチ)等、難解な説明を目にします。

しかし、日常のビジネスの世界ではそこまで複雑なことを考える必要はありません。要は、矢印で結ばれる結論と根拠を明確にする思考こそが、ロジカルシンキングの基本です。

結論と根拠とみなすものの間に矢印が成立しさえすれば、結論を支える根拠が明確であることと同義です。そして、根拠にあたるものがなければ結論は弱まり、結論そのものがなければ根拠を見つけることもできません。

結論と根拠の両輪があってこそ、メッセージは力強く、説得力のあるものとなります。矢印の存在が、両者をお互いになくてはならないものにするのです。

いわゆる仕事のできる人、とくに各界の一流の人々は、この矢印を地道に、一つひとつ積み上げているものです。

 

世界的起業家のロジックは超シンプル

私がゴールドマンに勤めていたときのことです。私は日本を代表する世界的起業家の買収プロジェクトに1年半もの間、関わる機会を得ました。

印象に残っているのは、その起業家の発する質問がとてもシンプルだったことです。一つひとつの課題を解消し、結論を導き出すためのシンプルな質問を繰り返し、矢印を頭の中に描いていく思考プロセスを目の当たりにする経験は衝撃的なものでした。その上で数千億円規模の巨大な経営判断を行なっていくのです。ビジネスで大きな決断をする際にも、矢印でつなげるシンプルなロジックが重要なのだ、と強く感じた体験でした。

 

「結論+根拠」を習慣化する

私たちの日常では、「それで根拠は何?」と突っ込まれることは、あまりないかもしれません。それでも、仕事で意見を述べる機会のあるときは、結論と根拠をセットで話すことを習慣化していきましょう。

さらに、その二つを矢印でつないだとき、不自然でないかを確認してみましょう。結論だけでなく、常に矢印を付け加える意識をコミュニケーションで徹底していくと、ロジカルシンキングの力はおのずと高まり、さらには説得力も増していきます。

著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

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