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しぐさや振る舞いで損をしない「身体コントロール」の技術

2019年05月28日 公開

荒木シゲル(マイム・アーティスト)

 

 

人は自分のイメージ通りに身体を動かせていない!

 

 人は、相手の表情だけでなく、身体の動きからもメッセージを読み取る。ただ、何気ない動きでも、相手に意図せぬ印象を与えてしまうことがよくあるので注意が必要だ。身体表現コンサルタントの荒木シゲル氏に、どんな動きがどんな印象を与えるのかや、コミュニケーションをスムーズに取るための身体の動きを教えていただいた。

 

しぐさや振る舞いは言葉以上に雄弁

 言葉できちんと説明しているつもりなのに、相手に自分の気持ちや考えが伝わらず、誤解を招いたり相手の気分を損ねてしまったりした――。そんなときは、しぐさや振る舞いといった非言語(ノンバーバル)の部分に問題があるのかもしれません。

 多くの人は「話せばわかる」と思っていますが、言葉だけですべてが伝わるわけではありません。言葉では「とても嬉しいです」と言ったとしても、下を向いたまま暗い声で伝えたとしたら、相手はその言葉を疑います。特に気持ちや感情を相手に伝えるときは、言葉(バーバル)よりノンバーバルで受け取った印象を相手は信用します。

 よって、自分の気持ちを正しく伝え、相手と意思の疎通を図りたいなら、しぐさや振る舞いが極めて重要となります。そのために必要なのが、「身体コントロール能力」です。

 これは、自分の身体をイメージ通りに動かす能力です。「嬉しい」という気持ちを伝えたいなら、その感情を身体の動きとして表現できること。それが身体コントロール能力です。

 ところがほとんどの人は、自分の身体の動きに意識を向けていません。私は企業などで身体表現によってコミュニケーションスキルを高めるためのワークショップを行なっていますが、「胸を張りましょう」と言われて、お腹を突き出してしまう人が非常に多い。これはイメージ通りに自分の身体をコントロールできていない証拠です。

 特に最近は、メールやSNSの普及により、人と対面でコミュニケーションする機会が減って、言葉に頼らないノンバーバルコミュニケーションを苦手とする人が増えています。まずは普段の生活の中で、相手の表情や態度の変化を意識したり、自分がどんなしぐさや振る舞いをしているかを意識したりすることから始めましょう。

 

場にふさわしい振る舞いは「ステイタス」で決まる

 身体の動きを人間関係の構築に役立てるため、知っておいていただきたいのが「ステイタス」です。もともとは演劇用語で、人と人との力関係や権力の大きさを表現するメソッドです。ステイタスが高いほど権力が強く、相手を支配できる立場になり、ステイタスが低いほど力が弱く、支配される立場になります。

 このメソッドは、ビジネスシーンでも役立ちます。良好な人間関係を築くには、その場にふさわしいステイタスで振る舞うことが重要です。ステイタスを誤ってしまうと、相手を不快にさせたり、信頼を失ったりする原因になります。

 ステイタスを身体で表現するには、「空間」と「時間」を意識します。

 空間と時間を小さく使うと、ステイタスが低くなります。肩をすぼめて足を閉じ、全身が小さくなっている人は、控えめで立場が弱い人に見えます。また、早口でしゃべったり、せかせかと動いたりする人は、やはりステイタスが低い状態になります。

 反対に、空間と時間を大きく使うと、ステイタスが高くなります。胸を張ったり、足を広げたり、腕を広げたりすると、堂々として自信のある印象になります。話し方や動作も、ゆっくりと落ち着いていたほうが、ステイタスが高くなります。

 空間を小さく使う人と大きく使う人を比較したのが、写真12です。ちょっとした姿勢やしぐさで大きく印象が変わることがわかります。

 

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著者紹介

荒木シゲル(あらき・しげる)

マイム・アーティスト/身体表現コンサルタント

1969年生まれ。千葉県出身。高校卒業後、英国の美術大学に留学。卒業後はデズモンド・ジョーンズに師事し、パントマイム・アーティスト、俳優として活動。98年に帰国後は、CGキャラクターアニメのアドバイザーとして映像やゲーム製作に関わる。また、ヒューマノイドロボット研究者が集まる「デジタルヒューマン・ワークショップ2005」、国内外のCGクリエイターが集まる「シーグラフアジア2009」、スイス・チューリッヒ大学のシンポジウムなどで身体表現に関する講演を行なう。現在は、即興演技やパントマイムを取り入れたコミュニケーションセミナーを企業や学生向けに開催。著書に『しぐさの技術』(同文舘出版)がある。

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