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中小企業でも「顧客を喜ばせる付加価値」を生み出せる2つの視点

2019年05月05日 公開
2023年03月07日 更新

今井兼人(中小企業診断士)

「人を守る」と発想を転換した瞬間、様々なアイデアが!

同社の傘は、内側にたまった風を外に逃がす逆支弁(特許取得)がついているため、台風の時でも傘をさすことが可能です。また、傘の骨にはグラスファイバー素材を採用、透明傘にこだわるのも、ちゃんと前が見える安全性を担保するためでもあります。

もちろん、実際のものづくりにあたっては、一朝一夕にはいかず、ものづくりの大変さがあったことは言うまでもありません。ただ、このような様々な工夫をすることにより、独自の付加価値を有したポジションをつくりあげることができました。

自社の商品・サービスを定義することは、経営者の強い思いを源として、まさに自社の世界観を示すことです。そして、それがブランディングにつながるのです。

 

顧客層を一つ細分化してみて、その「困りごと」を考えてみる

あるタクシー会社の経営者が出演された某ビジネス情報番組で、短い時間でしたが、妊婦さん向けのタクシーが紹介されました。同社のホームページによれば、これまで累計10万人の都内の妊婦さんが同社のサービスに登録しているそうです。365日24時間対応、専用の電話回線を用意し、社員にも講習を実施する徹底ぶりです。

なぜ妊婦さん向けのタクシーが生まれたのか。あるとき、妊婦の女性社員が発した「妊婦向けに早く来てくれるタクシーがあればいいなあ」というちょっとした発言がきっかけでした。それは、社員が「顧客」の立場になって、何気なく放った一言でした。

そこから社長がその社員にいろいろと質問することで、ニーズに対する理解を深め、妊婦さん向けのタクシーは生まれました。

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