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中小企業でも「顧客を喜ばせる付加価値」を生み出せる2つの視点

2019年05月05日 公開
2023年03月07日 更新

今井兼人(中小企業診断士)

市場の縮小が新サービスにつながった!?

タクシー市場を見れば、10年以上前は輸送人員20億人弱でしたが、いまは15億人弱まで減少しています。業界が右肩上がりのときには、その市場の流れに応じて、自社も成長します。一方、右肩下がりのときには、既存の顧客を流出させないようにリピート化してもらうための仕組みや新規の顧客獲得、または既存の顧客により満足いただくための新しいサービスの創出が必要になります。もしかしたら、縮小市場の環境にあり、経営者にも危機感があったからこそ、このサービスの具現化につながったのかもしれません。

タクシーというサービスを、単に「人をA地点からB地点まで安全に早く運ぶ手段」と考えるのではなく、どんな困りごとを持っている人にとって(Who)、どんな便益を(What)どのように(How)提供するか、といった視点を加えて考えてみる。そうすることで、潜在顧客層のイメージや自社の新商品・サービスに関して、より豊かな発想を広げることができるのではないでしょうか。

もちろんそのアイデアの具現化に向けては、社員の知恵、力を活用し、サービスを立ち上げるオペレーションをつくりあげると同時に、投資に対してどれだけリターンが見込めるかといった試算も必要になることは言うまでもありません。

 

「再定義と細分化」が、新たな付加価値を生む

企業は、新たな付加価値を加えた商品・サービスを考えるにあたって「自社の商品・サービスを再定義してみることで新たな付加価値が生み出せないか」「実際に商品・サービスを購入する顧客層を細分化してみて、それぞれの細分化した層の具体的な困りごとはどんなことだろうか。どんな便益をどのように提供すれば喜んでもらえるだろうか」という視点で考えてみてはいかがでしょうか。

継続的な付加価値づくりが求められる中、自社の強みを活かせる領域を見出し、そのような視点で改めて事業を見つめ直せば、新たな発見、気づきがあり、次の飛躍へのヒントが得られるに違いありません。

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