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<連載第2回>英語が苦手でも会議で存在感を発揮できる「あるフレーズ」とは?

2019年05月07日 公開
2023年03月06日 更新

戸塚隆将(ベリタス代表取締役)

相手の意見の「根拠」に注目

グローバルな環境では、異質が大前提であり、意見は異なるものと想定しておくべきです。そのため相手の意見を聞いて理解し、尊重し、その上で議論を深めていくことが求められます。多様な価値観を尊重しながら意見を言うことが大切です。

そんなときに注目すべきなのが「根拠」です。相手の結論ばかりでなく、その根拠に目を向けると、建設的に議論が進み始めます。これが、相手の結論を真っ向から否定しないことの利点です。

たとえば、「青のほうがいい」「いや、赤がいい」という結論をぶつけ合うやりとりでは、なかなか決着がつかないでしょう。好き嫌いの問題ですから、堂々めぐりになってしまいます。

しかし、根拠を強調する話し方をすると、議論の中身が建設的になり、反対意見が議論を活発化させる効果をもたらします。たとえばこうです。

「さわやかさを重視するなら、青だと思うよ」

「さわやかさもいいけど、ここで重視されるべきなのは情熱じゃないかな。そうなると赤だな」

「ではこの場合、さわやかさか、情熱か、どちらが優先されるべきだろう? その点が決まればおのずと選ぶ色も決まってくるよね」

 

「根拠対根拠」なら感情的にならない

いかがでしょうか。結論が違う場合でも、さわやかさと情熱のどちらを優先すべきかという「根拠対根拠」の議論にもっていくと、感情的な喧嘩になりにくいと思いませんか?

相手の根拠に注目して議論を深める意識が、活発な意見交換を促し、職場のチームを高みに導いてくれるはずです。

明日からの会議で、上司や同僚の意見とは自分は反対の立場だな、と思うことが出てきたとします。そんなときは、積極的に反対意見を述べてみましょう。そして、相手の「結論」ではなく、その「根拠」に注意深く耳を傾けましょう。相手の根拠を理解した上で、別の根拠とセットにして反対意見を述べてみるのです。

根拠を強調すれば、むやみな対立をあおらず、建設的に反対意見を伝えることができます。説得力も高まります。結果、お互いの理解が深まり、納得のいく結論を出すことにつなげられるのです。

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著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

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