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<連載第4回>日本人の履歴書は「ここ」で落とされる

2019年05月27日 公開
2023年03月02日 更新

戸塚隆将(ベリタス代表取締役)

「声がかかる人」の共通点

そんな責任者の立場を想像してみれば、どのような人物にメンバーになってほしいかわかるのではないでしょうか。

有能だけれども当該プロジェクトに興味を示さない人よりは、参加したいとアピールしてくれる積極的な人、わずかに能力や経験が及ばなくともやる気と情熱にあふれている人……。そんな人とともに働きたいと思うのではないでしょうか。

私はマッキンゼーに入社当初は、以前ゴールドマンで買収案件のアドバイザリー業務にたずさわった経験を活かし、まずは財務案件、買収案件のプロジェクトにアサインされるようアピールしました。

その後、金融に詳しいことを強みとして金融機関の戦略案件や組織案件も担当できるようにキーパーソンに働きかけ、少しずつコンサルティングの幅を広げていった経験があります。

プロジェクトにアサインされる要素としての絶対条件はスキルと情熱の二つです。そして、これらを周囲にアピールするためのポイントは三つあります。

 

「三つのアピール」を実践する

1 自分の存在を知らせるために「顔を売る」

社内には名前と顔の一致しない人たちが数多くいます。プロジェクトメンバーとして選ばれるためには、まず自分の存在を相手に知ってもらうことが欠かせません。ともに仕事をしたい人のいる部署に顔を出す、まだ一緒に働いたことのない人をランチに誘って情報交換するなどしてみましょう。

私は海外案件を手がけたいと思ったとき、海外オフィスの同僚たちが出席するカンファレンスに出て発言したり、その後一緒に食事に行ったりして親しくなりました。まずは「その他大勢」から際立つために、顔を売ることが大切です。

 

2 自分の持つスキル・経験を伝える「自分レジュメ」を作成

プロジェクトにアサインされても、チームに貢献できなければ意味がありません。自分の持っているスキルや経験を伝える工夫が当然必要です。

私は社内用の「自分レジュメ」を作っていました。過去に参加したプロジェクトと、そこで果たした自分の役割が一覧できるものを用意していたのです。一度まとめておけば口頭で簡潔に伝えられますし、必要に応じてメールで送ることもできます。

自分の得意な業務・分野は何か、今ならどのような仕事でチームに貢献できるのか。これらを明確にしておかなければ、人に伝えることはできません。

自分のスキルや経験を棚卸しする意味も込めて、「自分レジュメ」を作成しておくことをおすすめします。定期的なアップデートも忘れないことです。

 

3 情熱・気持ちを率直に伝える

最後に大切なのは、やはり情熱です。先ほども述べたように、プロジェクトを取り仕切る立場からいえば、少々経験が浅くともやる気のある人、積極的な人をプロジェクトメンバーに加えたいと思うものです。遠慮する必要はありません。責任者やキーパーソンのところへ何度も足を運び、プロジェクトにかける思いを率直に伝えましょう。

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思いどおりにいかなくても腐らない >

著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

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