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「素直な心」により ゼロからの経営改革を実現

2019年05月29日 公開
2019年05月29日 更新

《PR》提供:株式会社オカフーズ

オカフーズ
 

業績アップと効率化を両立させるオカフーズの「理念」とは

便利で、かつ安全に食べられる「骨取り魚」をはじめとした水産加工食品や冷凍魚介類の開発・製造・販売を手がけるオカフーズ。社長の岡孝行氏は企業を継続的に成長させつつ、仕事の効率化を実行し大幅な時短も実現。その「理念」を重視した経営について、松下幸之助研究の第一人者である佐藤悌二郎氏と対談してもらった。
 

岡 孝行
株式会社オカフーズ代表取締役。1974年生まれ。神奈川県横浜市出身。法政大学卒業後、カナダに2年間留学。帰国後、食品会社に入社し、約3年間勤務。上海留学を経て、2003年オカフーズ入社。06年取締役、07年常務、09年専務を経て、11年社長就任。ベトナムに新工場を設立するなど事業を拡大させる一方、「環境整備活動」を進め社内の意識改革を推進。また、業務改善により大幅な時短を実現するとともに、社長自らCHO(最高健康責任者)として、健康経営を積極的に推し進めている。

佐藤悌二郎
株式会社PHP研究所客員。1980年、慶應義塾大学卒業後、PHP研究所に入社。研究員としてPHP理念および松下幸之助の経営観の研究に従事するかたわら、関連書籍、カセットテープ集などの原稿執筆、編集、制作に携わる。その間、松下幸之助所長を中心としたPHP理念研究会に出席し、PHP理念をまとめる作業を行なう。『松下幸之助発言集』(全45巻)編纂グループの主担当として、93年2月に完成させる。2014年12月専務取締役。19年1月から現職。西武文理大学特命教授、企業家研究フォーラム理事。

 

猛反発を受けた経営改革

佐藤 岡社長がオカフーズさんに入社されたのが2003年、そして11年には社長に就任されたわけですが、社長就任後、一番苦労されたのはどういったことだったのでしょうか。

岡 やはり「人」のことでした。就任後しばらくしてから、社内の意識を根本から改革するため、朝の掃除などをはじめとした「環境整備活動」に取り組みました。ただ、なかなか人がついてきてくれないのです。
先代の時代から働いているキャリアが長い社員も多いため、時間がかかるとは思っていたのですが、実際には時間が経ってもなかなか変わってくれない。

佐藤 それが変わってきたのには、どういうきっかけがあったのですか。

岡 私自身の心の持ち方の変化が大きかったと思います。あるときから「自分が会社をこうしたい」ではなく、「みんなで一緒に幸せになりたい」と意識するようになったのです。
そして、どうしたら社員にやりがいを持ってもらえるのか、幸せになってもらえるのかを考えるようになった。その結果、少しずつ信頼関係が生まれていったように思います。
同時に、以前は相手のことをきちんと信頼していないというか、任せても任せ切れていないところがありました。これも、信じられるかどうかではなく、「信じると決めよう」と決意したのです。
 

「気づかせる」ことが人に動いてもらう秘訣

佐藤 現場で優秀だった人ほど、なかなか人に任せることができないものです。その点、松下幸之助は病弱で学歴もなく、すべてを自分でやることができなかった。だから任せるしかなかったのですが、任せてみたら従業員は、予想以上に力を発揮してくれた。
人は任せて、主体的に働いてもらうことで、想像以上の力を発揮してくれる。これが幸之助の原点にあります。

岡 おっしゃるとおりだと思います。そのことを痛感したのが、生産性向上プロジェクトの際でした。業務効率化のためにはプロセスの見える化が必須ということで、私も含め社員全員が自分の仕事を分解し、それをチャートに落とし込む作業を行ないました。
この活動により仕事量は10%も増えてしまい、最初はみんな大反対でした。ただ、チャートを書いたことで、自分自身で「ここが無駄かもしれない」と気づくことができた。最初は社員からの抵抗もありましたが、最終的には率先して業務改善に取り組んでくれ、全社員平均で1日2時間以上、全社で実作業時間の4割程度の効率化を実現できたのです。その後、RPA導入によるさらなる業務改革を行ない、定時を17時に早めることもできました。

佐藤 それを聞いて思い出したのが、幸之助が営業改革に取り組んだときの話です。社内で作成されている報告書や定期的な通達などを持ってこさせ、それを自分の部屋に積み上げたのです。その後20日間、ほとんどの書類について、誰も取りに来なかった。そこで、これらの書類は必要がないはずだと、すべて廃止させたのです。
一方的に命令するのではなく、「気づかせる」ことが大事だということでしょう。

岡 社員自身の中にも「これは無駄ではないか」「もっと良い方法があるはずだ」という思いがあったのだと思います。ただ、そのやり方で仕事が回っている以上、自ら変えるのは難しい。そこはやはり、トップが率先して号令をかけねばならないと考えています。
また、実際にどのような効果があったのか、結果を社員と一緒に確認することが大切です。
 

「本気度の根比べ」で自主性を引き出す

佐藤 社員にやる気を持って働いてもらうためには、本人のやりたいことをできるだけやらせて、それが会社の方針とずれないよう、きちんとフォローしていく姿勢が大事だと思います。
幸之助は決裁した案件のうち、本当にいいと思ったものは4割しかないと言っています。ただ、社員の自主性を引き出すため、残りの6割もOKを出し、その後、徐々に自分の思う方向に導いていく。
最初から、「これをやれ、あれをやれ」「これはダメ」とばかり言っていたら、社員のやる気は出ない。どうやったら喜んで働いてくれるかという人情の機微を押さえながら、一人ひとりの性格を見て対応していました。

岡 なるほど。改革というのはある意味、社員の変化をどのくらい根気よく待つことができるかという「本気度の根比べ」というところがあるのかもしれませんね。
私自身、なるべく社員の自主性を大事にしたいと思っているのですが、難しいのは、提案の中に「私心」が見え隠れするときです。このようなとき、幸之助さんはどのように判断されていたのでしょうか。

佐藤 幸之助は「私心のある人はあきまへんな」と言っていたように、そこは厳しく判断していました。同じくらいの実力を持っていても、成功するかしないかは私心のありなしで決まるとすら考えていたのです。
何より重要なのは「理念」に沿っているかどうかで、そのうえでの失敗は、決して叱りませんでした。一方、うまくいってもやり方が間違っていたり理念に反していた場合は、厳しく叱っていました。

岡 弊社では、「ステークホルダーの役に立つ」ということを一番の理念として掲げています。幸せとは自分一人で得られる「満足」とは違い、相手に何かをして得られるものです。だからこそ、「売って終わり」ではなく、売った商品がお客様、そして最終消費者を本当に幸せにしなくては意味がありません。
だからこそ営業部員には、単に商品を売ることよりも、そのプロセスを重視してほしいと、常々伝えています。

佐藤 まさに幸之助のスタンスそのものです。そもそも、正しい仕事をしていれば成果は出るはずですし、成果が出ないとしたら、それは何かが間違っているから。その意味でも、数字よりもまず理念を重視すべきだと思います。

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