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「気軽に相談に乗る」上司が、実は生産性を下げている?

2019年06月20日 公開
2023年03月02日 更新

金村秀一(ウィルウェイグループ社長)

優秀な社員が「高速道路」を降りてしまうことの弊害

幹部社員や経験豊かな社員が、本来やるべき仕事に集中している状態を、高速道路を走っている車と考えてみます。高速道路を走っている間は、信号などで止まることも、渋滞なども起こらないので、本来やるべき仕事に集中をしてスピード感を持って進めることができます。

この高速道路を走っている時に、オブストラクションが入ることで、その車は一度高速を降り一般道を走る必要があります。相談してきた社員のレベルに合わせて低速で走りながら、相談ごとを解決します。目の前の相談ごとが解決すると、また高速道路に乗り高速で車を走らせます。

低速と高速を繰り返すことは非常に効率が悪いのですが、それでも相談事には対応してしまいます。なぜなら、相談ごとを解決することで相手から感謝され、「仕事をしている感」が生まれ、快楽さえ感じるからです。

 

本来やるべき重要な仕事はむしろ「仕事をしている感」が生まれにくいこともあり、目先の仕事に優先的に対応してしまうのです。人間とはそもそも目先の快楽を求めたがる動物です。この真理を社長が認識した上で、生産性を高めるのであれば、このようなオブストラクションを整頓する仕組みを社内に導入しなくてはなりません。

著者紹介

金村秀一(かねむら・しゅういち)

ウィルウェイグループ社長

成功し続ける社長のための経営塾『100年塾』塾長。
1973年東京生まれ。東京国際大学卒。1995年、弱冠21歳の時に創業。企業のWEB制作や顧客管理、マーケティングサポート、飲食業界、人材派遣業界など会社の成長ステージに合わせて事業を展開し、労働生産性は中小企業の3倍と高い生産性を実現。これまで四半世紀の経営経験から得たノウハウと、右肩上がりの高収益企業を創造する経営計画書による経営の仕組みを、社員30人未満の小さな会社の社長を対象とした経営塾『100年塾』で2012年から主宰。
著書は累計3万部を超える。最新刊に「右肩上がりの会社が必ずやっている現場ルール(自由国民社)」。

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