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功罪あった「ゴーン改革」の中で、いまだに色あせない「見事な目標設定」とは?

2019年07月15日 公開

石島洋一(公認会計士)

経営改善において「目標の立て方」は極めて重要

経営において「目標の立て方」は非常に重要なテーマだ。曖昧な目標では何をしていいかわからないし、高すぎる目標に社員が委縮してしまうことも……。

実はかつて、見事な目標設定をし、実際にV字回復を成し遂げた企業がある。それがカルロス・ゴーン時代の日産だ。逮捕以来、何かと批判されることの多いゴーン氏だが、その「目標設定法」からは学ぶことが多いという。

経理の本としては異例のシリーズ60万部を発刊した『決算書がおもしろいほどわかる本』の著者として知られ、近著『ざっくりわかる「決算書」分析』にて決算書分析のイロハを解説した公認会計士の石島洋一氏にうかがった。

 

明確だった数値目標

日産のカルロス・ゴーン元会長の逮捕は衝撃的でした。今後どうなるかはわかりませんが、一人の人間に権力が集中した時にどのような問題が生ずるか、その戒めとなったことに間違いはありません。

しかし、純粋に「経営」の視点から見たとき、ゴーン改革が今の日産に大きな貢献をしたことは紛れもない事実です。特に「目標設定」という観点からは、今でも多くのことが学べると思います。

当時を思い出してみましょう。

そもそも、彼が日本に来たての頃は、批判というより非難されることが多かったと思います。でも、その後は見事に日産を再建した経営者として評価が大いに高まりました。

日産は「日産180」という目標を立てました。年間100万台の売上増加、8%の営業利益率、自動車部門の実質有利子負債ゼロという目標です。2002年のことでした。

目標をきちんと数字で表現し、わかりやすい項目に絞り、それでいて全体を見逃さない素晴らしい目標だと思いました。しかも、それを3つとも成し遂げた実力には尊敬の念すら覚えます。

経営の目標というのは、できるだけ数字に表すべきなのです。数字で表されないと、チェックができず、結果的には達成へ向けての使命感が薄れてくるのです。

 

社員が意識できる目標への翻訳も大切

会社全体で目標を持つことは非常によいことなのですが、そのためには一人ひとりがどのように行動すべきか、具体的な活動目標がなくてはなりません。そして、その目標自体もできるだけ数値化すべきです。

不良率の状況、顧客から寄せられた不満の内容とその数、事故率の減少、値引きの増減、欠品率等、経営に関係する数値は数多くあります。その部署では、どんな問題点があり、それをカイゼンするためにはどんな数値目標を立てるか。そこが重要なポイントです。

そして、階層が下になればなるほど、目標は具体的で身近なものにする必要があります。

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