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実験心理学が示す3つの間違いと「本当に効果的な勉強法」

2019年08月16日 公開

竹内龍人(日本女子大学教授)

 

「長時間、集中して勉強したほうがいい」わけではない

 ビジネスパーソンが資格の勉強をするうえで問題になるのは、知能よりも、忙しくて勉強する時間が取れないことでしょう。効率的な勉強の仕方をしないと、なかなか成果が上がりません。

 短い時間で効率良く勉強するには、次の二つのことを意識的に行なうといいでしょう。

 まず、「分散学習」です。

 何かを勉強するとき、多くの人は、一つのことに対して、何時間も「集中学習」をしようとするのではないかと思います。例えば英語なら、「今日は現在完了形を勉強しよう」と、現在完了形だけに集中するわけです。

 しかし、目覚ましい成果を上げたいなら、一つのことに長時間集中するのを止めて、あれもこれも「分散学習」をすることをお勧めします。

 英語の例で言えば、現在完了形をちょっと勉強したら、助動詞の勉強をする。あるいは、英語から離れて経済の勉強をしてもいいですし、極端な話、家事をしてもかまいません。そして、他のことをしてから、また現在完了形を勉強するのです。

「そんなやり方をしたら、なかなか覚えられないのでは」と思うかもしれませんが、実際は、分散学習のほうが、記憶が定着します。

 それを示したのが、2013年に発表された次の実験結果です。

 二つのグループに「8つの新しい曲をピアノで弾く」という課題を与え、グループAは「1曲ずつ確実にマスターする」、グループBは「ランダムに各曲を練習する」という方法で練習しました。総練習時間は同じです。そして、2日後に、どれだけ弾けるか試してみたところ、多くの曲を正確に覚えられたのは、グループBのほうだったのです。

 なぜ、分散学習のほうがよく覚えられるのか。そのメカニズムは解明されていないのですが、一度勉強してから間を空けると、その間に、覚えたことが脳内で整理されると考えられています。整理された状態で復習をすると、記憶や技能が定着しやすいのです。

 この方法で勉強すると、一つひとつ集中して勉強するよりも、記憶にかかるトータルの時間が少なくて済むというメリットもあります。

 直感的には「分散学習」よりも「集中学習」のほうが効果が高そうですが、科学的には、「分散学習」のほうが明らかに高いパフォーマンスが出ます。科学を信じて、ぜひ試してください。

 

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著者紹介

竹内龍人(たけうち・たつと)

日本女子大学教授

1964年生まれ。京都大学文学部心理学専攻卒業。東京大学大学院、カリフォルニア大学バークレー校心理学部、日本電信電話〔株〕(コミュニケーション科学基礎研究所)を経て、日本女子大学人間社会学部心理学科教授。認知心理学の研究に取り組む。著書に『進化する勉強法』(誠文堂新光社)がある。

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