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第一線のクリエイティブディレクターが教える「通らない資料」の問題点

2019年09月09日 公開

嶋浩一郎(博報堂ケトル社長)

多くの人が陥っているプレゼン資料作成の「大きな勘違い」とは?

 

 数多くの企業のPRを手がけ、クリエイティブディレクターや編集者として広告業界で活躍し続けている嶋浩一郎氏。クライアントへのプレゼン資料をどのように作っているのか、また、通る資料とダメな資料の違いはどこにあるのか、話を聞いた。

 

1ページ目から書き始めてはいけない

 企画やアイデアをクライアントへのプレゼン資料に落とし込む際、嶋浩一郎氏はどのような工夫をしているのか。その秘訣を聞きに行ったところ、「聞く人の気持ちになって書かれていないプレゼン資料が多い」という指摘から話が始まった。

「プレゼンでは、資料に書いたことを、全部、書いた通りに説明しなければならないと思っている人をよく見かけます。しかし、相手が話に納得していて、早く先を知りたいと思っているのなら、補足的な部分は飛ばして話すべきです。そうしないと、相手がうんざりすることもある。たとえて言えば、快速に乗りたい相手を各駅停車に乗せるようなもので、『途中の駅なんて、いちいち止まらないでくれよ』と思われてしまうわけです。

 逆に、相手が理解できていないようであれば、他社事例やユーザーの声のような補足的な内容も、きちんと説明する必要があります。相手の様子を見ながら、臨機応変に対応しなければなりません。

 それができるようにするためには、どこが大切な『幹』に当たる部分で、どこが補足的な『枝葉』なのかを、きちんと区別して資料を作ることです。この区別ができていないと、『枝葉』の説明に時間をかけてしまったり、肝心の『幹』が相手に伝わらなかったりしてしまいます」

 資料を作るときは、1ページ目から順番に作るのではなく、まず「幹」を作って、そこに「枝葉」を付け加えていくべきだ、と嶋氏。「幹」の基本的な構造は次の通りだ。

 

(1)ミッション
 例「商品Aの売上げを10%アップしたい」

(2)課題
 例「シニア層に商品Aが認知されていない」

(3)アイデア
 例「シニア層の健康意識にアプローチする」

(4)施策
 例「シニア層に人気のタレントが商品Aを健康のための愛用品として紹介するタイアップ記事を雑誌に掲載する」

(5)成果
 例「商品Aの売上げが伸びるだけでなく、健康という新しいブランド価値が浸透する」

 

「極論を言えば、この『幹』さえしっかりできていれば、これを3~5枚にまとめるだけで、立派なプレゼン資料になります。

 ただ実際には、課題の背景となる事柄や施策に使う新技術などを相手が知らないこともありますし、直接プレゼンを聞く担当者は知っていても、決裁する上司は知らないこともあるので、補足説明のための『枝葉』も必要になります。ですから資料は、『枝葉』も含めたフルバージョンで作っておくのがいいでしょう。

 ただし、あくまでも重要なのは『幹』の部分です。経験値が低い人ほど、『枝葉』ばかりを書き連ねた資料を作って、プレゼンでもひたすら『枝葉』の説明をしてしまいますが、相手にとってストレスになってしまうこともある。相手の反応を見て、『ここは飛ばして大丈夫だな』と思ったら、『詳細はのちほど資料をお読みください』で済ませるべきなのです」

 

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著者紹介

嶋 浩一郎(しま・こういちろう)

博報堂ケトル代表取締役社長

1968年生まれ。93年、〔株〕博報堂入社。企業のPR活動に携わり、2002~04年には雑誌『広告』の編集長を務める。04年、「本屋大賞」の立ち上げに参画。06年、既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する㈱博報堂ケトルを設立。『アイデアはあさっての方向からやってくる』(日経BP社)など、著書多数。

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発売日:2019年09月10日
価格(税込):630円

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