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できるリーダーは「部下に負けないように理論武装しない」

2019年09月27日 公開
2023年02月24日 更新

吉田幸弘(リフレッシュコミュニケーションズ代表)

 

全員が全員「正しいと思う意見を持っている」

現実問題として、「こいつは俺より優秀だな」という部下は出てきます。

また、総合的には勝っていてもこの分野は敵わないな、ということもあるでしょう。

部下育成が上手なリーダーは、自分が完璧ではないことを知っています。

したがって、先頭に立って引っ張るより、部下を前面に出して、後ろから何かあったとき、フォローすればいい、と考えています。

なので、自分より優秀だと思った部下には、対決するどころか、教えを請います。

ときには、本来自分が知っていることでも、その部下が「こんな商品があるんですよ」と言ってきたら、「全然知らなかったよ!教えてくれてありがとう」と、返します。

つまり、優秀な部下のメンツをあえて立てるのです。仮に「それ、知ってるよ」と言ってしまえば、部下も快く思わず、同じような提案をしてくれることはないでしょう。繊細な部下の場合、以後まったく意見を出さなくなってしまうかもしれません。

部下から反論があった場合も、むしろ反論を歓迎します。「立っている場所が違えば、ものの見方が違うのは当然のこと」と考えているので、反論は、相手にとっての正論、つまり全員が全員「正しいと思う意見を持っている」ことを理解しているからです。

話は少し変わりますが、時代は大量生産から多品種少量生産に変わりました。

みんなが同じ歌を聴いて、同じドラマを見て、同じテレビ番組を見て育つ時代は終わり、アマゾンのロングテール戦略のように、それぞれが違うものに触れて育つ時代になりました。また、日本で外国人の方も多く働くようになってきています。価値観どころか、言語や文化が違うことも少なくありません。

このような、多様性を受け入れていかなくてはならない時代においては、リーダーはむしろこの多様性を活かしていく必要があります。

その意味でも、リーダーは「部下から学ぶ」機会を積極的に設けるべきです。

これからのリーダーは、「相手を認め、謙虚に学ぶ」ようにしていきましょう。

著者紹介

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)

リフレッシュコミュニケーションズ代表

成城大学卒業後、大手旅行会社、学校法人を経て、外資系専門商社へ転職。メンバーとのコミュニケーションに苦心し3度の降格人事を経験、クビ寸前の状態になる。その後、異動先で出会った上司から「伝え方」を学ぶことで営業成績が劇的に改善、マネジャーに返り咲く。現在はコンサルタントとして独立し、累計3万人のリーダーを育てている。

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