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成長市場で生き抜く「凡人起業家」のための負けない戦略

2019年10月24日 公開

小原聖誉(起業家/エンジェル投資家/StartPoint代表取締役)

徹底的に競争を避けて負けない市場で戦え

 さて、凡人が起業するにあたり、大事な鉄則があります。それは、徹底して失敗しにくい土壌を作ることです。

 消極的に感じるかもしれませんが、大切な戦略です。私は今まで、自分のやり方に固執したり、やりたいことだけを掘り下げたために失敗した、才能豊かな起業家をたくさん見てきました。天才ですら失敗する確率が高いのですから、凡人は比べるまでもないでしょう。

 では、具体的にどうすべきか。

 まずは、現職の会社の社長や上司に「いずれは起業したい」と伝えたうえで、彼らと良好な関係を保ちましょう。

 あなたが真面目な会社員なら、社内での信用も溜まっているはず。みんなから感謝されているはずですから、起業を知らせておけば、後になって助けてくれる可能性が高いのです。

 私も実際に、事前に起業の意思を伝えて、前職の社長に応援してもらい、設立後には協業しました。

 次に、参入する業界や市場を定めます。このとき、成長市場を選ぶことが大切です。

 成長市場なら市場全体の追い風に乗って、自分もどんどん成長や拡大を遂げていくことが容易です。衰退市場で事業に同じエネルギーを注いでも、そうはいきません。

 ただし、誰もが注目している成長市場は参入者も多く、レッドオーシャンの可能性が高い。そこで、成長市場の中でも、まだ参入者が少ない分野に目をつけることが重要になります。

 例えば、1兆円の市場に1万社のプレーヤーがいる市場に参入するのと、市場規模は5000億円だけどプレーヤーは100社しかいない市場に参入するのとでは、成功の確率は後者のほうが圧倒的に高くなります。

 私のケースでいえば、スマホゲームのマーケティング支援事業を始めたときに、みんなが参入したがっているiPhoneではなく、あえて注目されていないAndroidに逆張りしました。これならば、市場でトップシェアを狙える可能性が高まります。

 ちょっとした裏ワザかもしれませんが、あえて成熟・衰退市場を狙うという手もあります。その市場は投資を行う企業が減っているのでITが浸透していないことがよくあります。ITを活用してまだ誰も気づかないソリューションを提案できる余地のある分野も存在するからです。

 とにかく大切なのは、徹底的に競争を避けること。市場のポジショニングが成功すると、生き残る確率はグッと高まります。

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著者紹介

小原 聖誉(おばら・まさしげ)

起業家/エンジェル投資家/〔株〕StartPoint代表取締役

1977年生まれ。ベンチャー企業勤務を経て、2013年、35歳のときにスマホゲームのマーケティング支援事業を柱とした株式会社AppBroadCastを創業。立ち上げたメディアは2年で400万ダウンロードを超えた。2016年、大手通信会社グループに同社をバイアウト。現在は自らの創業経験をもとにIT企業の支援・投資活動を行なう。著書に『凡人起業』(CCCメディアハウス)。

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