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自覚しにくい目の病気を早期発見するには?



2019年12月11日 公開

井上賢治(井上眼科病院院長)

会社の健康診断だけでは、目の病気は見つかりにくい

超高齢社会の現代では、白内障や緑内障など加齢に伴う目の病気にかかる人が増えている。一般的に自覚症状があまりないので、気づくのが遅れて手遅れになるケースも。創立138年の歴史がある眼科の院長・井上賢治氏に、目のトラブルの予防法、病気の早期発見のためできることについてうかがった。(取材・構成=塚田有香)

 

40代になったら老眼と緑内障に注意

40代になると、老眼の症状が現れ始めます。これは目が対象物にピントを合わせるための調節機能が衰え、近くのものが見えにくくなる症状です。老眼は病気ではなく、加齢によって誰にでも起こる老化現象なので、予防するというよりは、「老眼になった」と早く自覚し適切に対処することが大事です。老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズなどを使用して、目の負担を軽くすることを心がけてください。

多少手元が見えにくくなっても、「まだ老眼になる歳ではないだろう」などと考えて放置しがちですが、そのままではパソコン作業などの効率は下がりますし、眼精疲労を起こして頭痛や肩こりなどにつながることもあるので要注意です。

また、緑内障のリスクも高まります。疫学調査によると、40歳以上の5%、20人に一人が緑内障というデータもあるほどです。

緑内障は視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気で、放っておくと失明につながる危険があります。ところが初期段階は自覚症状がほとんどないため、自分では気づきにくいのが特徴。かなり症状が進行すれば、自分の視野が欠けていることに気づきますが、一度損なわれた視神経を回復させることはできませんし、処置が遅れれば最悪の場合は失明に至ります。

しかし早い段階で治療を始めれば、進行を遅らせることができます。よって緑内障は、欠けた視野の範囲が広がらないうちに、できるだけ早期発見することが何より重要です。

 

自覚症状のない病気も。眼科ドックの勧め

初期の緑内障は自覚症状がないので、発見するには定期的な検診が唯一の手段となります。会社の健康診断では視力検査しか受けないことが多いのですが、緑内障は眼圧検査や眼底検査なども受けなければ発見できません。

眼圧は眼球内の圧力のことで、眼圧が上がると視神経が圧迫され、見える範囲が狭くなる原因となります。ただし近年は、眼圧に異常がなくても緑内障の症状が起こる「正常眼圧緑内障」が増加しているので、眼圧検査だけでは不十分。目の奥の中心部分を撮影する眼底検査も合わせて行い、総合的に判断する必要があります。眼底検査をすれば、緑内障だけでなく、糖尿病や高血圧による目の出血や網膜の異常によりものが見えにくくなる加齢黄斑変性などの疑いも調べることができます。

よって40代になったら、ぜひ年に一度はこれらの検査を受けることをお勧めします。とくに血縁関係に緑内障の方がいる人や糖尿病や高血圧の人、強い近視の人は、緑内障のリスクがより高まるので、定期的に検診を受けてください。さらに詳しい検査が受けられる「眼科ドック」を3年から5年に1回受けると、より安心です。例えば当院では、眼圧検査や眼底検査に加え、赤外線で目の中の断層を撮影する三次元眼底解析検査や、角膜の細胞を調べる角膜内皮細胞検査など、15項目の検査を実施しています。

日常的に下記のセルフチェックを行うことも、目の病気の早期発見につながります。ポイントは、左右片目ずつチェックすること。両目でものを見ると、片方の目に異常があっても、もう片方の目が視力や視野をカバーするので、目の病気に気づきません。

 

☆左右それぞれ片目ずつチェック!

朝起きたら、同じ場所から同じもの(カレンダーなど格子状のものが最適)を片目ずつ見る。視力が落ちていないか、線がゆがんで見えないか、見えない部分がないか感度をチェックする。
・見え方に左右で差はないか?
・視力が落ちていないか?
・線がゆがんで見えないか?
・欠けて見えない部分がないか?

 

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著者紹介

井上賢治(いのうえ・けんじ)

医療法人社団済安堂理事長

井上眼科病院院長。千葉大学医学部、東京大学医学部大学院卒。眼科専門医。専門は緑内障。2002年より、井上眼科病院に勤務。2012年より現職。「患者さま第一主義」を掲げて、より多くの人が使いやすい施設作りに努める。ライフワークとしてユニバーサルデザイン普及に精力的に取り組む。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る目の健康を守る本』(幻冬舎)などがある。

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発売日:2020年09月10日
価格(税込):700円

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