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交渉が上手い人がやっている「相手の要望を聞き出す」テクニック

2019年10月31日 公開

石井通明(日本交渉学会正会員)

いかに饒舌に話をさせるか

 

 ビジネスパーソンの日常は交渉の連続だ。しかし、苦手意識を持っている人も多いだろう。そこで、交渉学の専門家である石井通明氏に、最高の成果を得るための交渉術を教えてもらった。石井氏によると、「話し上手」であることよりも、「聞き上手」であることが重要だという。

※本稿は、石井通明著『最高の結果を得る「戦略的」交渉の全技術』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

 

「興味を持っている」と思わせるには?

 交渉担当として相手先に向かう場合、多少下から臨む態度になることが多いはずです。その際要望を聞き出すのも仕事のひとつ。すると、どうしても聞き役のポジションになります。

 では、聞き手としてどうあるべきか。一番良いのは、相手が「この担当者は私の話に興味を持っている」と思わせるような態度をとることです。

 つまり、交渉のポイントは、「聞き上手になる」ということです。

 相手との関係性を築く上で成り立つ交渉では、こちらからの主張ばかりを訴えていては良い形にはなりません。そうかと言って、ただ聞いていればいいわけでもありません。それは「聞き上手」という概念を間違えてとらえているのです。

 聞いて「うんうん」というだけが聞き上手ではなく、会話の中から相手の気持ちや要望を引き出してこそ聞き上手であると言えます。

 例えば、

「そのことに関して興味がわきましたので、もっと聞かせてください」(範囲を広げる会話)
「素晴らしいですね、なぜそれを始めようと思ったのですか?」(内容を掘り下げる会話)

 といった、相手自身の口から、理由や詳細を引き出すことが求められます。

 そんな時には、相手の話について、あるポイントを見計らってちょっと前のめりの姿勢になる。すると「この話には興味があるのかな」と相手は感じます。また「その話をもう少し詳しく聞かせてください」などといった言葉で、相手の「話したい気持ち」をくすぐると、相手は気分が良くなって、より饒舌(じょうぜつ)になっていくはずです。

 そして、目を輝かせながら「はい」「なるほど」「そうですね」などと、うまいタイミングで相づちを入れると、相手の話のテンションは上がっていきます。

 一方、相手が何かを話し出した時に、「あ、その話知っています」と、相手の会話を遮って自分で話を始めてしまう。そんな人、たまにいますよね。これは、自分が気持ちいいだけで、話したいと思っている相手の盛り上がった気分に水を差すことになります。会話の途中に携帯が鳴るといったことでも、中断されてあまりいい気はしないはずです。

 まして「それって、こういうことですよね」と、聞き終わらないうちから勝手にこちらが要約してしまうと、もう相手の話そうという気持ちは折れてしまっています。ごく基本ですが、相手の話を遮らない。これも大切なことです。

 

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著者紹介

石井通明(いしい・みちあき)

日本交渉学会正会員

1979年生まれ。アルバイト時代にコールセンターでテレフォンオペレーターの仕事に従事。そのまま会社に就職し、リーダー、課長、部長に5年で昇進し、取締役COOに最短で就任。現場では、電話業務から強いられる困難な応対をまとめる立場として、交渉の能力を高めた。そのあと、コールセンターの依頼主やクレーム主との対応などで交渉術の奥深さを知り、交渉のスキルを高めるために、2012年から交渉学の権威である英国ウェールズ大学で3年間学び、MBAを取得。ハーバード流交渉術や行動心理学、コンフリクトマネジメント(職場で発生する利害の衝突・対立を、組織の成長や問題解決につなげようとする取り組み)などを研究。MBAを取得後、交渉のスペシャリストとしてコンサル、講演をこなす。日本交渉学会の気鋭の若手として活躍中。交渉学についての学術論文「声の印象による交渉術」が大阪大学、学会から高い評価を得た。

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