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意味のない「クソ仕事」を捨てて ワクワクする時間に集中しよう

2019年11月08日 公開
2023年02月24日 更新

山口 周(独立研究者)

伝説のF1エンジニアが引退した理由とは?

 では、クソ仕事を撲滅できたとして、効率化できた時間でどのような仕事をすべきだろうか。

「仕事と遊びの境界戦が曖昧になる中、今後は自分にとって意味のある仕事、ワクワクする仕事に集中すべきだと思います。

 逆の例で恐縮ですが、こんな話があります。1980年代末、F1マシンのエンジニアであるゴードン・マーレイが、史上最高と呼び名が高い『MP4/4』を設計しました。異次元に速いマシンを生み出し、ワールドチャンピオンになりましたが、レギュレーションによって使用禁止に。それ以降、協会が規定したルール内でタイムを縮めるよう規制がかかり、これを契機にマーレイは引退しました。最後にこんな言葉を残しています。

『今のF1にはまったく興味がない。風洞実験を2000時間やってラップタイムが1秒縮まったとか、そんなクソ仕事やるくらいなら家でロックを聴いてる方がいい』──。

 今はこうした『クソ改善仕事』が横行しています。マーレイはこれに辟易したのでしょう。彼にとって、身の毛もよだつようなすごいアイデアを生み出し、実現することこそが、意味のある仕事だったのだと思います。

 そうした仕事に集中することが、今後のキャリアを切り開くヒントになります。今の仕事が、果たして人生をかけるべきものなのか、再考したほうがいいかもしれません」

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著者紹介

山口 周(やまぐち・しゅう)

独立研究者

1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー・ヘイグループ参画を経て独立。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』(光文社新書)『ニュータイプの時代』(ダイヤモンド社)などベストセラー多数。

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