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「意識改革研修」に期待している会社は、沈む

2019年12月03日 公開

小宮一慶(経営コンサルタント)

社員教育のあり方を見て分かること

 例えば、就職したいと考えている会社が、将来性がある良い会社なのか。取引先の会社は、これから成長が期待できるのか。いまはネットで調べれば、簡単になんらかの情報を得ることができるが、それは「誰か」の知見やものの見方だ。それを参考にしながらも、自分自身で実際にその会社のよしあしを見抜く”確かな目”を養っていくことが大事だと、経営コンサルタントの小宮一慶氏は言う。具体的には、どこをどう見ればいいのか。一例を教えてもらった。

※本稿は、小宮一慶著『伸びる会社、沈む会社の見分け方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

 

形だけの研修になっていないか

 研修との向き合い方には、その会社の姿勢が如実に表れます。

 新入社員研修でも、幹部が出てくるところは、社員教育に熱が入っていると分かります。

 私の知っている会社で、新人研修に社長が出てくるところが数社あります。幹部、とりわけ社長がその場にいるだけで、研修を受ける人たちの気持ちがピリッと引き締まります。社長にお話を伺うと、「私がいちばん勉強になります」とおっしゃいます。

 一方、「研修なんか、一応、形ばかりやっておけばいい」と考えている会社もあります。「大事なのは実践だ、研修では何も身につかない」というわけです。

 しかし、それは違います。人は教えてもらうことで学ぶのです。例えば、ビジネスパーソンとして必要なマナーが最初からできる人はいません。知らないことはできないのです。知るとは、やり方が分かるようになるというだけではなく、そのコツ、何が大事なのかを学ぶことでもあります。基本を知った上で実践を重ねることで、学びが身についていくのです。

 私は、講師の話を聞くだけでなく、自分が参加したという感覚が大事だと思っているので、研修には必ずグループディスカッションなどの主体的要素を取り入れています。

 たまに、「このグループディスカッションの時間、必要でしょうか。小宮先生のお話を伺うだけで十分ですよ」と言ってくる研修担当の人がいます。「ああ、この会社は本気で研修をやる気がないな」と分かります。

 話を聞くだけのほうがラクだからです。後日、自分たちで研修結果をまとめるというならまだ分かりますが、そうではなくて、ただ聞きっぱなし。とりあえず形だけやっている。それで「うちはきちんと社員研修をやっています」と言うわけです。

 会社がそういう姿勢だと、社員も研修を大事にしなくなります。例えば、研修前にあらかじめ事前課題を出しておくと、みんなきちんとやってくる会社とやってこない会社がはっきり分かれます。他の人がきちんとやってきていて、研修の場でいい発表をするとなると、自分だけサボるわけにはいきません。みんなが課題をしっかりやってきていると、盛り上がって中身の濃い研修になります。切磋琢磨する体質があると研修内容の充実度も高くなります。これも社長や幹部が自ら研修に積極的にかかわっているかが大きく関係します。

 それに対して、「その時間、研修を受けてさえいればいい」という雰囲気の会社では、誰もまじめにやってきません。同じことをやっても、雲泥の差です。研修に対する気構えがまるっきり違う。研修や仕事の成果が上がるのはどちらか、結果は歴然としています。

 目の前の自分の仕事をきちっとやっていればいいだろうというぐらいの姿勢か、せっかくの研修を最大限生かし、もっと能力、スキルを上げたい、もっと良い職場にしていきたいと思えているか。個人の資質もありますが、その会社自体の姿勢、社風の影響は大きいです。

 

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著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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