THE21 » キャリア » 大企業がフリーランスの営業マンを活用する時代に。その背景は?

大企業がフリーランスの営業マンを活用する時代に。その背景は?

2019年12月06日 公開
2023年02月24日 更新

満田聖也(カクトクCEO)+出久地旭(同社Pro director事業部チームリーダー)

 

成果をきちんと上げるための仕組み

 コニカミノルタに限らず、営業活動を外注する企業は増えているようだ。その主な理由はコスト削減にあるという。

「正社員の営業職が、移動や会議、書類作成、雑談などをしている時間を除いた、実際に営業活動をしている時間は、1日に2~3時間だと言われています。極端な話、その2~3時間のために、正社員の給料や福利厚生費、社会保険料を支払っていると考えると、外注したほうがコストを下げられるわけです」(満田氏)

 また、営業組織を柔軟に設計できるようにすることで、営業戦略を自由に描けるようになることも、企業にとってのメリットだ。

「これからマーケットを取りに行こうというスタートアップが外注するケースも多いですし、コニカミノルタのように、上場企業が新規事業の営業活動を外注するケースも多くあります。また、外国企業が日本に進出する際、日本の商習慣がよくわかっている人材を求めて、営業活動を外注するケースもあります。東京の企業が地方に進出する際に、支店を作らずに済み、場合によっては撤退もしやすいということで、フリーランスの営業職を活用することもあります」(満田氏)

 とはいえ、フリーランスに営業活動を任せることに不安を感じる企業も多いだろう。例えば、コミュニケーションがうまく取れるのか、という問題だ。

「営業ディレクターを含めて5~300名ほどのチームを組むことができるため、コミュニケーションは成果を上げるために重要なポイントだと考えています。具体的なコミュニケーションの方法は、クライアント企業と相談して決めています。Facebookのメッセンジャーを希望される企業もあれば、LINEやChatwork、Slackなどを希望される企業もあります。コミュニケーションツールを使ったテキストでのやり取りが中心だと、人によって温度感に差が出る可能性があるので、クライアント企業の意向が営業チームにきちんと伝わっているかどうか、クライアント企業に定期的にアンケートを取ったり、営業ディレクターを連れてクライアント企業を訪問したりして、確認しています」(出久地氏)

 また、モチベーションの面で不安を感じる企業もあるだろう。

「その点については、まず、報酬の仕組みを工夫しています。当社は歩合制ではなく、稼働に対して報酬が支払われるようにしています。時間あたりの単価を固定で決めるとともに、テレアポなら時間あたり何件、訪問なら何件、飛び込みなら何件、というように行動KPIが設定されていて、その達成度合いによって報酬が支払われる仕組みです。だから、『成果が上がらないから、やる気をなくした』ということになりにくい。ただ、クライアント企業によっては、これに加えて成果報酬もあります。また、一人で活動するために不安を抱え込んでしまうフリーランスもいるので、そうならないよう、営業ディレクターや当社のサポートチームが悩みなどを聞くようにしています」(満田氏)

 営業活動を外注する以上、その成果に対するクライアント企業の目は厳しい。営業活動の進捗状況についても、カクトクが細かくチェックしているという。

「契約は、基本的に、半年間、または1年間とさせていただいています。最初から『2年間の契約をしたい』というような企業もあるのですが、『まずは本当にフィットするかどうかを見極めましょう』とご提案しています」(出久地氏)

 

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