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大企業がフリーランスの営業マンを活用する時代に。その背景は?

2019年12月06日 公開
2023年02月24日 更新

満田聖也(カクトクCEO)+出久地旭(同社Pro director事業部チームリーダー)

 

「フリーランスの営業職」という働き方が広がりつつある

 

 営業職の側にも、フリーランスになることを希望する人が増えているという。

「今は、毎月400~500人が当社に登録しています。介護や育児のためのプライベートの時間を作るために独立される方が多いですね。正社員の営業職は1日約9時間も仕事をしているのに、先ほど申し上げたように、実際に生産的な活動をしている時間は2~3時間しかないんです。『このままでいいのかな?』とキャリアに悩む方も多い。フリーランスになれば、もっと効率的に時間を使えます。例えば、複数社の商材を扱うことで、同じお客様に対して提案できる商材の数を増やす。また、飲食店と大企業など、お客様の都合の良い時間帯が違う商材を扱うことで、商談の回数を増やすこともできます。そうして仕事の生産性を上げることで、プライベートの時間も確保できるようになるわけです。ただ、独立してもすぐに仕事があるわけではないので、働いたら働いたぶんだけ、歩合ではなく固定で収入を得られるということで、当社のサービスを使っていただいている方が多いです」(満田氏)

 ひと昔前は、歩合制でより高い収入を得るために独立する営業職が多かったが、今はそうではないという。

「いわゆる『レジェンド』のような営業職ばかりが独立しているわけではありません。当社の登録者の中には、子育てをしながら1,000万円プレイヤーになった方もいます。普通の営業マンが40代で独立してから1年以内に1,000万円プレイヤーになり、さらに営業代行会社を立ち上げて、数千万円の売上げを上げながら後進の育成もしているケースもあります」(満田氏)

 政府が主導する「働き方改革」も追い風になっているそうだ。

「私は当社を創業する前、シタテル〔株〕というベンチャー企業に勤めていました。2014年の創業で、その最初期から営業職として参画し、顧客を開拓していたのですが、周りに聞くと、スタートアップで活躍することに憧れを持っている営業職は大勢いました。けれども、スタートアップに飛び込むのは勇気がいるので、なかなか踏み切れないということでした。そこで当社は、兼業・副業の営業職とベンチャー企業をマッチングすることから事業を始めました。当時は、企業もフリーランスの活用に消極的でした。流れが変わったのは、政府が『働き方改革』を発表した2017年です。営業職も企業も、フリーランスに対する抵抗感が薄れてきています。今のところは、登録者もクライアント企業も東京が中心ですが、これから地方にも広げていきたいと思っています」(満田氏)

 カクトクに登録している営業職には、様々なタイプがいる。

「toBだけではありますが、インサイドセールスから飛び込み営業、大企業に訪問して提案するスタイルの営業など多様です。商材も、個人で作っているような製品からナショナルブランドまで、また、SaaSやキャッシュレス、HRテックなどのイノベーティブなものからフリーペーパーまで、多種多様なものを扱った経験者がいます。だから、『オーダーメイド型の営業組織を構築』できるのです」(満田氏)

 最後に、今後の展開について考えていることを聞いた。

「現状では、商材を理解するためのサポートや営業戦略の指導はしているものの、登録者の営業力を上げるための教育は行なっていません。既に営業力を身につけている人たちに動いていただいています。登録者の平均年齢は33歳くらいで、営業経験が5~10年ほどある、しかもフリーランスになるくらい自信のある方たちなので。ただ、今後は、活躍している営業職のデータをもとにして、世の中の営業職全体の底上げをしたいと考えています。また、データベースに基づいて、体育会系やコンサルタイプなど、市場や商材に合ったタイプの営業チームを提案できるようにするための投資にも力を入れていきます」(満田氏)

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