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10年後「枯れる人」「実る人」の時間の使い方

2019年12月24日 公開

高塚苑美(グローバルセールスパートナーズ代表取締役)

属人化したやり方を捨て、仕組み化で人に任せる

 

 人生100年時代、現役で働かなければならない時間は長い。ただ、「目の前の仕事に忙しく、それどころではない」と言い訳し、目の前の仕事に逃げていては、この長距離走を走りぬくことはできない。そう指摘するのは、複数の会社を経営し、超多忙な毎日を送る高塚苑美氏だ。自分の時間を取り戻し、将来への種を蒔くにはどうすべきか。

取材構成 野牧 峻

 

「心身を整える時間」を手帳に予約しておこう

 複数の会社を経営し、多くの仕事を抱える高塚氏。忙しい毎日の中で特に大切にしているのは、「心身のコンディションを整える時間」だという。

「疲れてくると、心がザワザワしたり、やる気が出なかったり、些細なことにイライラしたりして、パフォーマンスが落ちてしまいます。原因となる仕事自体を減らせば良いとは思いますが、限界がありますし、それは皆さんも同じでしょう。

 ならば、せめて気分良く仕事し、生産性を落とさないようにする。そのため、リカバリーする時間を予定に組み込みます。『時間が空いたら休息に充てる』という考え方では、いつまでもコンディションは整いません」

 具体的にどんな予定を組んでいるのだろうか。

「私は、2週間単位で予定を埋めていきます。その中に必ず、平日にジムのトレーニングやランニング、休日にはデザイン書道の時間を組み込んでいます。

 書道のときは朝から晩まで丸1日、書に没頭していますね。一つのことに集中するので、心を整えることができます。

 でも、心がザワついていると、筆をまっすぐ下ろせません。そんなときは、調子が良くないことに気づけます。面白いもので、こうしたルーティンが、身体をメンテナンスすると同時に、体調やメンタルのバロメーターとしても役立つのです」

 コンディションを整える時間を予定に組み込むようになったきっかけはなんだったのか。

「私は、昔から仕事に集中しすぎるタイプ。ハードワークがたたり、休日に体調を崩して寝込むことも多く、月曜日にげっそりして出社すると、『痩せた?』と聞かれることもしばしばでした。20代のうちなら乗り切れるかもしれませんが、長くは続きません。

 経営者になると、やるべきことがますます増え、それらをこなすだけで精一杯。とても自分の体調やメンタルに気を配る余裕はありませんでした。

 でも、一流の経営者は私よりも忙しいのに、朝5時から運動したり、趣味を満喫している。最初は、『タフすぎる……』と思っていたのですが、彼らは余裕があるからオフを活動的に過ごすのではなく、オフにコンディションを整えているからこそ、仕事でパフォーマンスを発揮しているのだとわかりました」

 高塚氏がもう一つ、自分のために確保すべき時間だと話すのが、「種蒔きの時間」だ。

「今後必要な知識を身につけるために勉強する時間や、新しいことに挑戦する時間を確保することです。これは、仕事に限った話ではありません。地域のコミュニティに参加したり、新しい趣味や活動を始めたりする時間も含みます。

 これらはすべて、『10年後に花を咲かせるために、種を蒔く時間』と言えます。コンディショニングで体力を維持することも含め、先々のことを考えて自分のための時間を意識的に持つべきです」

 

ミドル社員は、仕事を任せる「インフラ整備」を

 では、こうした自分のための時間を確保するため、どう仕事を効率化しているのか。

「違う人がやっても同じ成果が出るよう、仕事を標準化することがポイントです。自分でやらなくていい仕事を、指示しなくても任せられるようになります。

 例えば、部下に企画書の作成を頼むとき。クオリティが人によってまちまちということがあるはず。でも、ステップを明確にし、フォーマットを作り、それを埋めれば完成するパッケージを作れば、精度のムラはなくなります。

 さらに、その資料を共有すれば、誰かに聞かずともそれを参考に資料作成できます。属人的な仕事のやり方を捨て、任せる仕組みを作る。インフラ整備こそ、ミドル社員がやるべき仕事でしょう」

 だが、実際はインフラ整備どころか、目の前の仕事に追われるミドル社員は多い。部下を早く帰すために、彼らの仕事を引き受けるミドル社員もいる。

「インフラ整備は緊急性が高くありませんが、とても重要です。こうした仕事を後回しにすると、ジリ貧に陥ります。そうした事態を防ぐためにも、『重要だけど、緊急ではない仕事』に着手すべきなのです」

 

会議は、始める前に結論を出しておこう

 コンディショニングや種を蒔く時間の重要性を理解しつつも、時間管理ができない人は少なくない。タイムスケジュールのコツはないだろうか。

「私は、24時間のうち、拘束される時間を3時間以内と決めています。3時間あれば、アポイントを三つは入れられますし、確認しなければならない案件も大抵はチェックできます」

 では、会議など強制的に時間が奪われる場合はどうすべきか。

「会議を進行する立場ならば、制限時間を設け、長引かないように進行します。そのためには、会議の落としどころを予め決めておくこと。

 アジェンダをしっかり作れば、あとはその通りに話すだけですから、議事録も予測できます。結論もある程度決めておき、AかBかCのどれになるかを選ばせる状態にします。

 会議をその場で打ち合わせる時間にしてはいけません。むしろ、会議は始まる前にほぼ結論が出ている状態が望ましい。そのためには、事前に参加者と情報を共有し、上の人には了解を取っておく。そうすれば、会議は承認を得る儀式になります。

 参加者として会議に出席する場合は、相手が欲する資料や発言を想定して準備し、進行役を補助しましょう」

 

「ちょっといい?」に邪魔されないためには

 仕事を邪魔されて、生産性が下がることもある。例えば、「ちょっといい?」と話しかけてきて、時間を颯爽と奪っていく上司や部下にはどう対処すべきか。

「そうした人につかまると、大抵は『ちょっと』で済まされませんね。こうした時間泥棒には、私なら『よくないですね~』と返します(笑)。すると、『いつならいいの?』と聞いてきますから、『1時間後でしたら終わるので、その後15分でしたら――』といった感じで答えます。

 部下の『ちょっといいですか?』に耳を貸し、自分の仕事が後回しになって帰れない方は、予め、週に2回17時〜18時の間など相談タイムを設けるなど、時間割を決めておくと、その時間に部下が合わせてくれるようになります。

 その時間内だけ質問に答えるようにしましょう。仕事の受け方を変えれば、生産性は大きく変わります」

 メールやメッセンジャー、チャットなどはどうだろうか。

「私は、連絡をチェックする時間を1日3回と決めています。まず、朝イチ、ランチタイム、そして夕方以降です。 

 チェックした内容は、すぐ返信すべきものと、時間をかけるべきものに分けます。前者は、「了解」と返事をしてその場で処理。後者は夕方に回します。

 その日に片づくものであれば返信しますが、資料を添付する返事など、時間のかかる返信は、メール受理の連絡だけしておきます。その際、期限も知らせておけば、相手もストレスなく仕事ができるでしょう」

 また、仕事を中断されるなど、細切れの時間が続く中でも、大きな仕事を進めるコツがある。

「タスクを細切れにすれば、スキマ時間に入ります。例えば、資料作成は時間がかかる大きな仕事ですが、リサーチ、構成立て、作成の3段階には分けられるはず。この作業工程を一つずつ空いた時間につめていきます。

 このとき、バーチカル式の手帳を使えば、空き時間が一目瞭然なのでとても便利です。マンスリーは予定の俯瞰に、ウィークリーはタスクを入れる時間帯を探すために使いましょう。

 時間の使い方を工夫すれば自分の時間の確保は難しくありません。ぜひ、自分なりのやり方をみつけてみてください」



著者紹介

高塚苑美(たかつか・そのみ)

〔株〕グローバルセールスパートナーズ代表取締役

〔株〕宙代表取締役。慶應義塾大学SFC研究所所員。同志社大学卒業後、ニュージーランドへ遊学。帰国後、輸入車ディーラーでトップセールスとして活躍し、8年で800 台の販売を記録。2011年よりセールス&マーケティングコンサルタントとして活躍。講演、執筆の他、 国内では伝統文化や地方活性化プロジェクト等にも数多く携わり、老舗や農家、自治体まで幅広いクライアントを持つ。著書に、『超一流の手帳はなぜ空白が多いのか』(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

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