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圧倒的結果を出せる「仮説思考」の営業とは⁉

2020年02月03日 公開
2023年02月24日 更新

冨田和成(ZUU代表取締役)

目標を設定するときはリミッターを外そう

時間あたりの成果を最大化するには、まず目標設定の「リミッター外し」をしてください。これは、自分が持つリソースや過去の実績などにとらわれず、なんの制約も設けないで目標を立てること。

例えば現在、年間で1億円の売上げがあったら、「売上げを5億円にできるとしたらどうする?」と考えてみる。いきなり売上げを5倍にするなんて、99%の人は「絶対にできない」と思うでしょう。でもそんな考えは一旦、脇に置いて、できる前提で実現手段を考えるのです。

すると今までの延長線上では無理で、抜本的にやり方を変えなくてはいけないと気づく。とてつもないゴールを設定することで、「売上げを5億円にするには、こんなやり方があるのでは」という今まで考えつかなかったようなドラスティックな仮説が生まれるのです。

仮説が立てば、あとはそれを実証するために行動するのみ。この「仮説思考」こそ、圧倒的なスピードで最大の成果を出す必須条件です。経験を積み上げて良い方法を見つけるだけでは結果が出るまでに時間がかかりすぎます。

まだ課題解決策が見えていない段階でも、現時点での最適解を推論し、「これが答えだろう」とあたりをつけながら仮説検証を繰り返せば、いきなり正解に辿り着く確率は高まります。

さらにもう一つ、確率を高めるポイントがあります。それは、「マーケティングプロセス」を重視すること。営業の仕事は、顧客と面談するまでの「マーケティングプロセス」と面談後の「セールスプロセス」に分かれます。

前者はリストの選定・顧客の絞り込みから顧客へのアプローチまで。後者はヒアリングからニーズ喚起、プレゼン、成約、紹介までが含まれます。

多くの営業は、「どんなプレゼンをするか」「どうやってニーズ喚起するか」というセールスプロセスのことばかり考えがち。しかし確率論で言えば、「顧客をどう説得するか」より「どの顧客を説得するか」のほうが、売上げに与える影響は大きい。

しかもこの二つのプロセスで求められるスキルは、スポーツで言えばサッカーと野球くらい大きく異なります。意識的にマーケティングプロセスに取り組み、仮説検証によってやり方をアップデートしていかなければ、成果を最大化できません。

 

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著者紹介

冨田和成(とみた・かずまさ)

ZUU代表取締役

神奈川県出身。一橋大学在学中、IT分野で起業。大学卒業後、野村證券に入社。数々の営業記録を樹立し、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンキング部門に異動。その後、ASEAN地域の経営戦略担当を経て、2003年にZUUを設立。金融経済メディア「ZUU online」を含む資産運用の総合プラットフォームを運営する他、企業のフィンテック化推進支援やPDCAエンジニアリング事業などを展開。著書に『営業』(クロスメディア・パブリッシング)『資本主義ハック』(SBクリエイティブ)など。

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