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「簡潔に、でもカラフルに」が伝わる文章のコツ

2020年02月20日 公開

山口真由(ニューヨーク州弁護士)

文章の構成は「2パターン」だけ

文章を書く際には「構成」も重要だ。だが、山口氏は構成について悩むことはないという。

「というのも、私の文章の構成は2パターンしかないからです。一つは、『結論を述べてから、その理由を三つ述べる』という型。もう一つは、『相反する二者を対比させる』型。これは報告書や企画書など、ビジネスシーンでも定番として使えます。

第一のパターンは『結論はこうです。その理由は三つあります』という伝え方。すでに実践されている方も多いでしょう。理由の数はいくつでも構いませんが、1~2個では少なすぎ、多すぎると冗長に。やはり3個が最も座りが良さそうです」

もう一方の「対比型」は、客観的・俯瞰的に物事を伝えるときに役立つ。

「『Aの現状はこうで、Bの現状はこう。だから、結論は……』といった伝え方ですね。今、私が書いている論文では、『親の権利と子供の利益』という二つの原則を対比させています。一見、相反する二つの視点について、それぞれに基づいた判決を元に一方的視点に偏らずに均等に述べることで、全体像を浮き彫りにしようとしているのです」

この「型」は、英語で文章を書く経験から得られたという。

「留学時代は言葉の壁がとにかく厚く、短い文章を書くのにもひと苦労。試行錯誤の末、この型のどちらかにのっとって書けば、文が少々つたなくても伝わることがわかったのです」

英語は文法の構造上、明確な表現がしやすいとも言われる。

「確かに、その側面はあるかもしれません。明快な文章を書くため、英語で考えてから日本語にしている人もいます。また、英語の論文には、冒頭で簡潔にテーマを伝え、二文目で膨らませ、三文目以降に例示、といった定番の型があります。これもわかりやすい文章を書くために役立つと思います」

ただ、英語的な表現技法をそのまま使うべきではないときも。

「英語圏では書籍でも新聞記事でも、なるべくウィットの利いた表現を入れようとします。宿敵同士の和解をロミオとジュリエットになぞらえて『モンタギューとキャピュレットが和解』と書く、などですね。最近は日本でもこうした気の利いた表現を多用する人がいますが、注意が必要です。日本では、こうした表現が嫌味にとられることもありますし、表現ばかりに凝って中身が伴っていなければ、むしろ印象を悪くします。まずはシンプルな言葉でわかりやすく伝えることが大事だと思います」

 

強調点を響かせる「漢字二文字」

山口氏が心がけているのは表現よりもむしろ「言葉のリズム」だ。これは文章を短く区切ることから生まれるという。

「強く伝えたい箇所ほどセンテンスを短くするようにしています。『○○だが、○○で、○○……』と冗長につなげず、『○○だ。しかし』というように単文を重ねることで、文章にリズムが生まれます。特に冒頭でテーマを述べる際は、なるべく印象に残るよう、シンプルで短い文にすることを心がけています」

また、文章ならではの視覚的な側面も意識している。

「例えば英語の『care, custody and control』という語を訳す場合、『ケア・監護・支配』などとする人が多いと思いますが、カタカナと漢字が混じってアンバランスな印象に。『愛情・監護・支配』など、漢字なら漢字に統一するようにしています。

ちなみに日本語の文章の中では、漢字二文字の言葉が一番目に留まりやすいように思います。強調すべきポイントは、ひらがなやカタカナの言葉を漢字二文字の言葉に置き換えると、簡潔かつ鮮やかに伝わります」

いわゆる「カタカナ語」も確かに目立つ。だが、あまり多用したくないという。

「『ケイパビリティ』『サステナビリティ』などの英単語を好む方は多いですね。私も場合によっては使いますが、基本的には日本語で表現するのが好きです。英語のままでは『腹落ち』しづらいからです。

また、英語をそのまま使うのは、自分自身がその言葉の意味をきちんと理解していないから、という場合も。意味を理解できていなければ、文章もあいまいになりがちです。だからカタカナ語を使いたくなったときほど、その言葉の意味をしっかり咀嚼し、日本語にできないかと考えるようにしています」

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