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詐欺で4300万円が一瞬で消失!人生のどん底を味わった社長の「対修羅場のメンタル」

2020年03月03日 公開
2023年02月24日 更新

近藤宣之[(株)日本レーザー会長]

1㎞先を見るように上を向いてみよう

そうは言っても、人の心は弱いもの。時には、落ち込んでしまうこともある。そんなときはどう対処すればよいのだろうか。「私が実際にやっているのは、『言葉を変える』ことです。

他責の思考に陥っているときは、往々にして、『なんで?』『でも』と言ったネガティブな言葉を発しています。とっさに口から出そうになるこれらの言葉をぐっと堪えて、「わかりました」「ありがとうございます」と言ったポジティブな言葉に変える。

それだけで、『なんで?』と過去に留まっていた思考を、未来に向けて考えられるようになります」

気分が落ちているとうつむきがちになるが、姿勢と目線を正すのも効果的だという。

「意識的に姿勢を正して、1km先を見るように上を向き、少し大股で歩くようにする。私はこのようにして、落ち込んだとき、どんな理不尽なことが起きたときにも、無理やりにでも行動から変えていきました。

読んでいて、『バカバカしい』と思った方もいるでしょう。しかし、私は会社員、経営者を含めて50年以上仕事をする中で、数々の大きな理不尽を経験して、気がつきました。

心を強くするために、一瞬で効く特効薬のようなノウハウなど存在しないのです」

短期的なやる気向上には名言、格言も有効だが、長期的には心強さは日々の言動が決める。

「私も最初から、強い心を持っていたわけではありません。理不尽なことで、不安に苛さいなまれたり、落ち込んだりするたびに、意識して、地道にこれらの基本的な言動を変化させてきました。

すると少しずつ、心が鍛えられ、常に前向きに物事を考えられるようになったのです。雑誌や書籍を読んで知識を得ても、実践しなければ意味はありません。だまされたと思って、やってみる。心も身体のように、負荷を乗り越えるうちに強くなるものです」

 

<『THE21』2020年2月号より>

著者紹介

近藤宣之(こんどう・のぶゆき)

㈱日本レーザー会長

1944年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業後、日本電子㈱入社。28歳のとき、異例の若さで労組執行委員長に推され、11年務める。アメリカ法人支配人などを経て、赤字会社や事業を次々に再建。その手腕が評価され、債務超過に陥った子会社の㈱日本レーザー社長に抜擢。就任1年目から黒字化、以降26年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導いた。著書に『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』(ダイヤモンド社)などがある。

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