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コロナショックの今こそ働き方改革の実態が明らかに。行動実験が実証する「再現性のある時短術」

2020年04月09日 公開
2023年02月21日 更新

越川慎司(クロスリバー社長)

社内会議の時間が劇的に減る方法とは?

働き方改革の手段として、時短の方法を考えたとき、最も効果が出やすいのは、「会議」に手をつけることです。

弊社が「1日にどんな業務をしているか」を221社に調査したところ、最も多くの時間を費やしていたのが「社内会議」で、全体の43%にも上っていました。ちなみに2位の「資料作成」は14%、3位の「メールの送受信」が11%です。43%にメスを入れると、大きな時短効果が期待できます。

会議の時間を減らす方法はたくさんありますが、最も効果的なのは、「企画・アイデア出しをする会議と意思決定をする会議を分けること」です。

様々な企業の会議の様子を7,000時間録画し、分析したところ、最も生産性が低い会議は、「アイデアを求められるが、出したアイデアをことごとく上司や同僚につぶされる」会議でした。企画・アイデア出しと意思決定を同時にしたいのでしょうが、これだと十分なアイデアは出なくなり、何も進まないまま終わってしまいます。

このようなムダをなくすためには、まず、アイデア出しに絞った会議をすることが大切です。アイデアを否定することは厳禁。とにかく質を問わず、量を出します。そのうえで、別の日にどのアイデアにするか、意思決定をするのです。その結果、会議を2回に分けているにもかかわらず、トータルの時間は12%も減りました。

 

ホウレンソウがリモートワークを台無しに

新型コロナウイルスの影響で、急にリモートワークをすることになった人は多かったのではないかと思います。政府の休校措置を受けた途端、弊社にも1日50件以上、リモートワークに関する問い合わせが来ました(※2月28日に取材)。今もスマホが鳴りっぱなしです。

リモートワークは、時短の観点からみても効果的ですから、この機会に移行すると良いと思うのですが、現実には、仕事に支障をきたしたチームも少なからずあったようです。

リモートワークの導入に成功・失敗する分かれ目は、「ホウレンソウ」にあります。報告や連絡を増やすのではなく、できるだけ減らすのです。

在宅勤務になると「サボるのではないか」と疑心暗鬼になり、日報の提出など報告・連絡を過度に求める企業は少なくありませんが、サボる人はオフィスだろうが在宅だろうがサボります。それより、詳細な報告など余計な作業によって、きちんと働いている人の生産性を下げるほうが問題です。

報告と連絡は、始業時に今日やることを、就業時に今日やった仕事を箇条書きで簡単に報告するぐらいにとどめましょう。

むしろ重要なのは、雑談と相談です。一人で仕事をしていると、孤独感を覚え不安になります。それを防ぐために、いつでも雑談や相談ができるようにしておくのです。

お勧めは、ウェブ会議の最初に、2分程度で良いので、雑談をすること。雑談は仕事の話ではなく、「今日食べたランチ」のような無難な話が良いでしょう。これだけでも孤独感は随分やわらぎます。また、ビジネスチャットでやり取りをするときに、絵文字の使用を積極的に奨励するのもお勧めです。絵文字は感情の共有をするのに非常に適していますから、ビジネスの場こそ有効活用しましょう。

 

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著者紹介

越川慎司(こしかわ・しんじ)

クロスリバー社長

株式会社クロスリバー代表取締役社長アグリゲーター。株式会社キャスター執行役員。国内外の通信会社に勤務し、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米マイクロソフトに入社。業務執行役員としてOffice事業部を統括。17年に働き方改革の支援会社であるクロスリバーを設立。週休3日で日本企業の働き方改革を支援し、18年11月時点で合計528社の働き方改革を支援してきた。働きがいを高めるワークショップを展開し、受講者は1万6,000人超。著書に、『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』(日経BP)など多数。

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