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コロナショックの今こそ働き方改革の実態が明らかに。行動実験が実証する「再現性のある時短術」

2020年04月09日 公開
2023年02月21日 更新

越川慎司(クロスリバー社長)

実践・超時短術 会議編

業務時間の43%を占める「社内会議」。そのムダを減らせば、多くの時間を捻出できる。

その方法として越川氏がすすめるのが「A24Bルール」。これは「Agenda 24 hours Before the meeting」の略で、24時間前までにアジェンダが共有されていない会議は中止をするという意味だ。「18社の1万7000時間の会議を調査したところ、『目的が明確に決まっている』『アジェンダが事前に共有されている』『必要な人が参加している』のうち、どれか一つでも欠けると、成功確率が40%以下に下がることがわかりました。成功確率が低いなら延期した方がマシというわけです」(越川氏)

会議の時間を60分ではなく、45分にすることもポイント。人は時間を目一杯使おうとするもの。45分にすると、45分で終わらせようとする。「また15分余ることで、その後に、『ちょっといいですか』と上司と部下他部門のメンバーにが話しをする会話する機会が生まれます。こうした会話から新規事業が生まれることは非常に多いのです」(越川氏)

誰も発言せず、時間だけが過ぎていく会議も、極めてムダだ。これをなくすには、心理的安全性を高めること。「尖った発言をしても自分の身に危険が及ばない」という安心感をメンバーに持ってもらうことが欠かせない。

その上で重要なのが、リーダーの表情だ。「40~50代の人は怒っていないのに、怒っているように見えがちです。柔和な表情を意識しましょう。ただ、笑顔をつくろうとするとぎこちなくなりがちなので、口角をあげることを意識しましょう。腕を組むのも威圧感を与えるのでやめたほうがいいです」(越川氏)

ウェブ会議と同様に、リアルな会議でも、冒頭に2分程度の雑談をすると、リラックスした空気をつくれる。

 

実践・超時短術 メール編

業務時間全体の11%を占めるメールの送受信。その手間を減らすポイントは、社外ではなく、社内のメールにメスを入れること。意外と、社内のメールに時間を取られていることが少なくないからだ。

社内メールの手間を減らすコツは、「メール送信のルールを決めること」と越川氏は言う。一部の人が考えるメールのマナーや常識によって余計な作業が増えていることは少なくない。ルール化することでそれを防げる。 

まずは「CC」。何でもかんでも上司をCCに入れることで、メールの量が膨大になり、上司の処理が滞るようになる。しかし、「不必要なCCをやめよう」だけでは、上司から怒られるのが怖い、となり、CCは減らない。「そこでルールを決めます。たとえば『営業目標の達成に5%以上影響のある案件の変化については、課長をCCに入れる』という具合です。あとはCCに入れない、とすると、メールの量が大幅に減ります」(越川氏)

また、越川氏がおすすめするのが、「本文を105文字以内に収める」というルールを決めることだ。

「そうすると、読みやすくなるだけでなく、『いつもお世話になっております』とか『お疲れ様です』といった挨拶の入力を省けます。社内へのあいさつは誰もがムダだと思っているのですが、『お疲れ様です、がないじゃないか』と文句をつける人が一人でもいると、省けなくなる。その対策のために、明確にルール化するのです」(越川氏)

個人でできることでは、「メールチェックの頻度を減らすこと」も有効だ。数分ごとにチェックし、いちいち対応していると、それだけで時間の浪費になる。

「しかし、メールのなかには、自分が答えなくても解決したり、相手の勘違いで答える必要がなかったりすることがよくあります。チェックの頻度を減らせば、そうしたメールに対応しなくて済むわけです。職種にもよりますが、一般的には1時間半に1回程度で十分だと思います」(越川氏)

 

<『THE21』2020年5月号より>

著者紹介

越川慎司(こしかわ・しんじ)

クロスリバー社長

株式会社クロスリバー代表取締役社長アグリゲーター。株式会社キャスター執行役員。国内外の通信会社に勤務し、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米マイクロソフトに入社。業務執行役員としてOffice事業部を統括。17年に働き方改革の支援会社であるクロスリバーを設立。週休3日で日本企業の働き方改革を支援し、18年11月時点で合計528社の働き方改革を支援してきた。働きがいを高めるワークショップを展開し、受講者は1万6,000人超。著書に、『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』(日経BP)など多数。

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