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「テレワークでは部下がサボる」と心配する上司が知らない"リモートの劇的効果”

2020年04月10日 公開
2020年04月10日 更新

倉貫義人(ソニックガーデン代表取締役社長CEO)

倉貫義人

新型コロナウイルスの感染拡大を抑止すべく、政府から事業者への要請として繰り返し発せられた「テレワーク」のお願い。通勤・出社による人の密集する環境を作らないための、リモートワーク(遠隔勤務)を採用する企業が急増した。

ところが、急にリモートワークを実施するとなっても、これまでの出社主義だった企業のマネージャーは、部下たちが目の前にいないことで心配を覚えるマネージャーも多い。

本稿では、かねてより全社員リモートワークを実現し、その手法に注目の集まる倉貫義人氏に、リモートワークにおけるマネジメントのポイントを教えてもらった。(取材・構成:池口祥司)

 

本来は準備せずに導入すべきではない

働き方の多様化、リモートワークを可能にするテクノロジーの進化と普及、また、政府が「働き方改革」を打ち出していることなどから、ここ数年、リモートワークへの社会的な関心が高まっています。

さらに、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の公共交通機関の混雑緩和や、図らずも新型コロナウイルス対策という時代の要請を受け、当社にもリモートワークに関する問い合わせが増えています。

私たちの会社では、10年来、試行錯誤しながら、リモートワークに取り組んできました。その結果わかったのは、リモートワークは生産性を上げるということです。

ただし、新型コロナウイルス対策のような緊急時は仕方がないとしても、準備をせず、一足飛びにリモートワークを導入するのは危険です。導入に際してのポイントや注意点を押さえておくことが欠かせません。

 

移動時間ゼロで、思い立ったらすぐ会議

朝起きたら、通勤電車に揺られて出社し、朝礼をして、社内で会議をし、取引先に出向いてミーティングをし、帰社してデスクワークをこなして、また電車に飛び乗って帰宅する――。

こうした働き方に慣れているマネージャーには、「仕事に必要な資料がオフィスにある」「部下には面と向かって話したほうが伝わる」「チームの一体感が大切だ」というように、物理的に出社することのメリットがたくさん思い浮かぶでしょう。

しかし、私の経験から言えば、 接客や工場などの製造現場のように、その場にいることに価値がある一部の職種を除いて、リモートワークは広範な業種で可能であり、働き方改革時代における生産性アップに欠かせない要素になっています。

まず、昨今の働き方改革では労働時間に焦点が当てられていますが、忘れてはならないのが、電車、バス、あるいはクルマや徒歩での移動時間です。

都市部に勤めている場合、片道40~60分くらいかけて出社している人が多いのではないでしょうか。すると、往復で、1日のうち80~120分を通勤に費やしていることになります。

リモートワークにすれば、この通勤時間をゼロにできます。

移動時間が減れば、そのぶん、余暇に使える時間が増えて、リフレッシュしたり、仕事以外の人生を充実させたりすることができますし、何より、移動によって疲れることなく、ベストなコンディションで仕事ができます。

インターネットがつながる環境であれば、出張先であってもオフィスにいるのと同じように働けることも、生産性を高めます。

「移動時間が減るのはわかったが、意思決定や業務の遂行に時間がかかるのではないか」と不安に思う人もいるでしょう。でも、その点も心配無用です。

例えば会議にしても、出社してやろうとすれば、会議室の空き状況を確認して、参加者全員がオフィスにいるタイミングを合わせて、ようやく開催できます。

一方、リモートでのウェブ会議なら、会議室が空いているかどうかも、参加者全員がオフィスにいるかどうかも関係なく、時間さえ合わせれば開けます。

さらに言えば、時間をわざわざ事前に合わせておく必要すらありません。

普段からチャットツールを使ってコミュニケーションを取り、「これはテキストよりも音声で伝えたほうがいいな」と思ったら、「今から相談していいですか」「〇〇さんと□□さんも参加できますか」などとメッセージを送り、ウェブ会議のアプリを立ち上げるだけで、その場で会議を開けます。

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