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50代で「腐っていく人」「花開く人」の決定的な違い



2020年05月08日 公開

出口治明(立命館アジア太平洋大学 APU学長)

 

「仕事は人生の3割」だから、いい仕事ができる

その言葉通り、58歳で起業し、今も第一線で働く出口氏は、50歳以降のワークライフバランスを、どう捉えていたのだろうか。

 「50代以降に限らず、若い頃から一貫して、人生における仕事の比率は、3割程度です。これは僕の主観でなく、数字上からも明らかなことです。1年365日=8760時間のうち、日本人の就業時間は2000時間程度。仕事は人生のほんの一部。残りは、生活のために時間を使っているわけです」

――仕事を「人生の一部」と達観すれば、かえって仕事の質は上がるという。

「なぜなら、その仕事にしがみつく必要がなくなるからです。自分を押し殺さずに正しいと思ったことを主張でき、自分のやり方で進められるでしょう」

――年齢が上がるにつれ、こうした「思い切り」がつきやすくなる。

「若い頃は、将来が未知数ですから『上司に嫌われないようにいい顔をしておこう』などの努力もするでしょう。しかし50代になれば、会社人生の先行きは見えますから、『今さらゴマを擦っても出世できない』と見極めもつきます」

――これは、日本生命における実体験でもある。出口氏の50代は、社内の出世コースから外れた時期だった。

「ロンドンから帰国後、国際業務展開にとりかかったのですが、就任した新社長と考え方が違ったのです。結果、49歳で国際業務部長の職から外されて営業職へ、さらには55歳で子会社へ出向しました」

――当時も今も、この左遷については、極めて前向きに受け止めている。

「おかげで、自分のために使える時間がたっぷりとれました。その時間で、保険業界で培った知識をまとめた著作を執筆。ほかにも新たな資格を取得したり、東大総長室のアドバイザーという副業を始めたり。そうした活動の先に、偶然、58歳での起業という新しい道が開けたのです」

 

人生後半戦の可能性を広げる「人・旅・本」のススメ

 時間の有効活用は、50代の人生を変える。その三本柱として出口氏が提唱するのが「人・旅・本」だ。

「色んな人に会って、たくさんの本を読み、多くの場所に自ら出向く。これは、つまり自己投資です。投資というと金融商品を思い浮かべる人は、考えを改めましょう。『老後2000万円問題』に踊らされて貯蓄に走っても、金融機関を儲けさせるだけです。お金を貯めるより、自己投資して稼ぐ力を身に着けるほうがはるかに効果的です。そのためにも、『人・旅・本』で、人生後半戦の可能性を広げましょう」

――関心のあること、これまでと違ったことを、何でも良いから経験すべしと語る。

「仕事以外に興味ナシ、という人も多いでしょうが、そういう人に限って実は変貌するものです。仕事一筋だったぶん、才能や可能性がたくさん眠っているからです。ある旧友も、バリバリ働くのみで芸術的なことには無関心だったのに、人に誘われて短歌の会に参加したときから一転して自ら短歌を詠むようになったのです。今は、会が発行する雑誌の編集長を務めています」

――これこそ理想的な「人・旅・本」の実践例だという。

「彼を変えたのは、その会を主宰する先生の存在でした。つまり『人』ですね。短歌の勉強で『本』とも多く触れました。そして、これまでと違うフィールドに触れたことは『旅』に当たります。この機会を今からどんどん増やしていきましょう」

――とはいえ、現在の新型コロナウイルスの脅威下で、活動することは困難だ。

「たしかに人と旅は難しいですね。でも本があるでしょう? 時間を潤沢に使って知識をつけられる、またとないチャンスです。新型コロナウイルスは、気候変動と同じく一つの自然現象ですから、ランダムに発生することは避けられません。

 しかし、晴耕雨読という言葉が表す通り、今できることをすればいいのです。そうすれば、家にいる時間を有意義なものにすることができるはずです」

――この試練は、個々の職場の働き方改革を推進させる契機にもなっている。

「APUでも、子連れ出勤、テレワークやオンライン授業を実践しています。異変が起こったとき、人はそれに対応すべく努力するもの。ダーウィンの言う『適者生存』――生き残れるのは強い者や賢い者ではなく、変化に適応できる者である、という言葉は真実です。このパンデミックに適応できたら、社会はそれだけより良くなるでしょう。ペストがルネサンスを生んだように」

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