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原宿・竹下通りの女子高生がいまだにCDを買う意外な理由



2020年05月14日 公開

佐々木康裕(Takramディレクター&ビジネスデザイナー)

ロジカルシンキングの限界を超えるデザインリサーチとは?

 

今はVUCAの時代と言われているように変化の激しく「答え」のない世界になっている。

そんな中、従来の数値的データを基にしたロジカルな分析の限界が叫ばれている。ロジカルな分析は、同じテーマを調べると、同じ結果が出るため、競合もまったく同じ結果に行き着くことがあるからだ。

そこで、注目されているのが”デザインリサーチ”という手法である。”デザインリサーチ”とは何なのか。従来のロジカルな分析と何が違うのか。『感性思考』(SBクリエイティブ)を上梓したビジネスデザイナーの佐々木康裕氏に聞いた。

 

量的分析に潜む大きな欠陥

私はもともとキャリアを総合商社でスタートさせ、主に新規事業開発に従事していました。当時MBA留学も検討していましたが、方針転換をし、米国のデザインスクールへの留学を選びました。理由は、従来のビジネススクールで学ぶような論理思考や戦略思考では解決できない問題に対処できるようになるためです。

デザインスクールでは、イノベーションを生み出すための”デザインリサーチ”というインプット法を学びました。

“デザインリサーチ”をご理解いただくために、一つ例を紹介しましょう。

 

オンライン決済サービスを提供するアメリカの企業PayPalの創業者のピーター・ティールが、採用面接で必ずする質問があるといいます。

 

「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何だろう」

 

そして、それに対する正しい答えは「世の中のほとんどの人はXを信じているが、真実はXの逆である」と彼は著書で語っています。

その真実を知るためには、一般的に行われるリサーチだけでなく、新しいタイプのリサーチに取り組む必要があります。

その意味で、これまで市場になかったような新しいビジネスを生み出すためにはこれまでビジネスの現場で行われていたリサーチ手法だけでなく、「デザインリサーチ」という手法を組み合わせることが必要となってきます。

 

ロジカルな分析の2つの問題点

例えば、通常あるプロダクトやサービスの受容性調査を行う場合は、 10代から 70代までの幅広い層を対象に、数百人から数千人の意見をアンケートで得る、といったような抜け漏れを防ぐためのリサーチを行います。そうしたアンケートでは、すでに決められている中から回答を選ぶという方式になっています。こうした調査の問題点は二つあります。

1つは、人は「say(言うこと)」と「do(行うこと)」が一致しないことが多い、という点を軽視してしまっていること。2つ目は、こうしたロジカルな分析は、同じテーマを調べると、同じ結果が出るため、競合もまったく同じ結果に行き着くことがある、という点です。

 

以前、30代男性向けのニュースアプリのブレストのサポートをしたことがありました。なぜ、ニュースアプリかと言うと、 30 代の男性がよく使うアプリランキングの1位はニュースアプリだというアンケートデータがあったからとのこと。

しかし、私はそのデータを見て、強い違和感を覚えました。電車で通勤しているとき、周りを観察すると、スマートフォンを使っている男性はたいていゲームをやっています。そうでなければ、SNSを見ているか。

私も同じ30代の男性なので自分のスマートフォンをチェックしてみると、普段よく見るアプリはマンガ雑誌の『モーニング』やゲーム、SNSでした。データを見せてくれた担当者も30代男性なので、スマートフォンを調べてもらったら2ちゃんのまとめやプロ野球速報が出てきました。

おそらく、それが30代男性のリアルな日常です。アンケートのような調査手法だとつい格好をつけて、ゲームだと答えられずにニュースを選ぶこともできますし、実際そのような回答をした人も少なからずいたかもしれません。

見せたい自分と本当の自分は違います。アンケート結果だけで「30代男性はニュースが好き」と結論付けると、顧客行動の本質を見逃してしまいます。

それを防ぐには、「本当にそうだろうか?」と疑う感覚が大事です。アンケートを参考にするにしても、データを鵜呑みにせず、自分の周りで起きていることを観察して仮説を導かないと、自分しか知らない情報は見つけられません。

 

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