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ウィズコロナの株式投資は「参入障壁」の高い企業選びがより重要に

2020年08月11日 公開
2023年02月21日 更新

奥野一成(NVIC常務兼CIO)

予想するのではなく、身の周りを振り返ろう

 では、長期にわたって利益を出し続ける企業とは、どんな企業なのか。その見極め方も、コロナ禍前と変わりません。

「これからはAIの時代だ」「コロナ禍でテレワークが普及するから、その関連株が上がるはずだ」というように、予想にもとづいた「テーマ買い」をする人もいますが、予想は当たるものではありません。2016年の米国大統領選挙でトランプ氏が勝つと予想していた人が、いったいどれだけいたでしょうか。トランプ氏が当選すれば株価が下がるというのが大方の予想だったのに、実際には上がりました。それを思い出すだけでも、いかに予想があてにならないかがわかるでしょう。

 ほぼ確実に予想できるのは、人口動態くらいのものです。日本の人口は減少していますから、日本のマーケットだけを対象にしている企業は、長期的に利益を出し続けることは難しくなるでしょう。一方、世界の人口は増え続けています。しかも都市部への人口集中が進んでいますから、エレベーターなどの需要は人口増加よりも速いペースで高まっていくと考えられます。

 では、エレベーター関連株を買えばいいのかというと、そういうことではありません。株価が上がるのは利益を出し続ける企業であって、売上を伸ばす企業ではないからです。時流に乗って売上を伸ばしても、利益がついてこない企業もあります。同じテーマ株の中でも、株価が上がるものもあれば、企業自体が倒産してしまうものもあるわけです。

 長期にわたって利益を出し続ける企業とは、何が起こっても、その企業の商品やサービスを多くの人たちが購入する、という企業です。

 これは、自分の身の回りを振り返れば判断できます。

 例えば、ディズニーランドには、子供の頃は親と、学生時代は恋人と、親になったら子供と、孫ができたら孫と一緒に、というように、人生の長い期間にわたって何度も遊びに行く人が多くいます。そこで得られる体験は、他で得られるものではありません。コロナ禍で休園したからといって、「もうディズニーランドには行かなくていいや」ということにはならないでしょう。ディズニーランドを世界最強のテーマパークたらしめているディズニーのキャラクターたちは他社がマネできないものですし、ピクサー作品やスターウォーズなどのコンテンツも買収により取り込んでいます。今から動物のキャラクターを開発してディズニーに取って代わろうという企業は現れないでしょう。Netflixがいくらコンテンツを作っても、ディズニーになれるとは思えません。となれば、ディズニーは長期にわたって利益を出し続けるだろうと判断できるわけです。

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