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リモートワーク時代に「オフィス」が持つ価値とは何か?



2020年07月27日 公開

伊藤直子(働き方改革エバンジェリスト)

「オフィスに行く」ことと「対面する」ことは違う

 それでもオフィスに出勤するべきだと言う方には、直接対面することを重視されている方が多いように思います。

 しかし、「オフィスに行く」ことと「対面する」こととは、イコールではありません。対面はオフィス以外の場所でもできます。直接話したいことがあれば、コワーキングスペースや喫茶店でもいいわけです。今は新型コロナウイルス対策が必要ですが、仲良くなるために一緒に食事に行ってもいいわけで、対面する場所がオフィスである必要はありません。

 では、オフィスはもうなくてもいいのかといえば、そうとも言えません。例えば、ウェブサービスの開発は在宅勤務でできても、それがどんな端末でもきちんと動くかどうかを確認するために、様々な端末が置いてあるオフィスに行かなければならない、ということはあります。この場合は、対面するためではなく、家には持ち帰れないモノを置いておく、実験・テスト・研究などをするための「場」としてのオフィスが必要だということになります。

 つまり、リモートワークになると、出社することが前提だったときとは、オフィスが持つ価値が変わるということです。それならば、リモートワークにふさわしいオフィスというものも、従来とは違うものであるはずです。

 オフィスに行くことの価値と対面することの価値とを整理すると、次の図のようになります。

オフィスは必要

 先ほど、「オフィスに行く」ことと「対面する」ことは別だとお話ししましたが、「オフィスに行って対面する」ことによって生まれる価値があるのも事実です。

 例えば、偶発的な会話や雑談が生まれること。「イノベーションを生むには偶発的な会話や雑談が重要で、それはリモートワークでは生まれない」という指摘がよくありますが、確かに、オフィスに行って対面しなければ、たまたま居合わせた人と会話をして、それが仕事につながることは稀でしょう。

 では、この価値を最大化するためには、どんなオフィスが望ましいのか。それには、ラウンジや社員食堂のような、社員がおしゃべりをしやすい「場」が必要なのかもしれません。

 他の社員たちの様子が見える、皆で一緒にいる感覚を得られる、顔を合わせるのが単純に嬉しい、といった価値も、「オフィスに行って対面する」ことで得られますが、これらについては仮想空間で代替するサービスが登場することが予想されます。孤独感や疎外感も、仮想空間で互いを確認できれば、軽減できるでしょう。

 次に、「対面する」こと以外の「オフィスに行く」ことの価値を挙げると、まず、ファシリティ(設備)があることです。

 在宅勤務だと集中できないけれども、オフィスに行けば快適な机や椅子、パーティションなどがあるので快適に仕事ができる、という人もいます。そこに価値があるなら、集中して快適に作業ができる空間をオフィスに作るべきです。ただ、これについては、コワーキングスペースやシェアオフィスを活用することで代替できるとも言えます。

 また、現時点では、大きなホワイトボードなどのファシリティがあるオフィスのほうが、ブレストのような「ワイガヤ」系の会議や、社外の方を招いての協創のための会議をするには、適しています。もっとも、テクノロジーが発達すれば、リモートワークでも十分にできるようになると思いますが。

 先にお話ししたように、家に持ち帰れないモノを使って実験などをするためにも、オフィスは必要です。社外の方に見てもらうため、自社商品をすべてオフィスに置いて、ショールームのように利用する、といった使い方も考えられます。

 他には、機密が含まれるために持ち出せない新技術や新製品、また、機密文書や法令で保管が義務づけられている文書などを置くための「場」としての価値はあると言えます。

 このように、リモートワークになっても、オフィスの価値がまったくなくなるわけではありません。しかし、従来のように、社員全員分の机や椅子を並べることには価値がなくなります。ですから、面積も従来よりも小さくて済むでしょうし、場所も複数に分散させたほうが効率的かもしれません。

 これからは、どんな価値を重視してオフィスを構えるのかを、明確に意識する必要があるでしょう。



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