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日本のITエンジニアの生産性を下げている業界慣習とは? そして、それを乗り越えるには?



2020年08月06日 公開

船木俊介(スーパーソフトウエア 東京オフィス代表)

船木俊介

同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターの発表によると、2015~16年にかけて行なったアンケート調査の結果、労働時間が週40時間を超えないソフトウェア技術者の割合は、日本ではわずか4.3%。一方、フランスでは76.4%、ドイツでは91.7%となっている。しかも、31~40歳のソフトウェア技術者の時給は、日本は2751円で、ドイツの5617円の半分以下。なぜ、日本のITエンジニアは、時間労働が長いのに低所得なのか? ITエンジニアの生産性向上のための施策を行なっている〔株〕スーパーソフトウエアの東京オフィス代表・船木俊介氏に話を聞いた。

 

スキルより経験年数で評価。しかも多重構造という問題

――日本のITエンジニアの所得が低いのは、なぜなのでしょうか?

【船木】ひと口にITエンジニアと言っても様々な人がいるのですが、ソースコードを書くプログラマの場合、経験年数が3~4年だと、クライアントが支払う金額は1人に対して月70万円程度です。個人のスキルによらず、この金額が業界内でほぼ決まってしまっているのです。

――なぜスキルが問われないのでしょう?

【船木】経産省が出した「DXレポート」にもあるように、企業のIT予算の8割は既存のシステムのメンテナンスに使われています。ですから、例えば、Pythonという新しいプログラミング言語を学んでAIをプログラムできるスキルを身につけても、あまりニーズがないんです。それよりも、既存のシステムに習熟しているエンジニアのほうが求められる。つまり、スキルよりも経験年数が評価されるわけです。

――経験年数が長くなると単価が上がる?

【船木】そうです。スキルではなく経験年数で単価が上がることが、エンジニアが新たなスキルを学ばない環境を作ることになっています。

 米国では、シリコンバレーに集まった各社が新たなシステムをどんどん開発して収益を上げているので、エンジニアたちもどんどん新しいことを学んでスキルを上げているのですが、日本ではそうなっていません。

 日本のITエンジニアの所得が低い、もう1つの原因は、業界が多重構造になっていることです。SIer(システムインテグレータ)が受注した案件をベンダーが下請けし、しかも、2次下請け、3次下請けとあるので、下請け会社の受注金額はどんどん減っていきます。

――なぜ多重構造になっているのでしょうか?

【船木】システム開発に必要な人数は、企画・構想の段階では数人なのですが、実際にソースコードを書く製造工程では、プロジェクトの規模によって、100人や500人といった大人数になります。SIerにとって、それだけの人数を雇用し続けるのは経営リスクになるので、製造工程を外部に委託しているのです。

 米国の場合は解雇が容易にできるので、必要なときだけプログラマを雇うことができます。そのため多重構造はありません。これは、日本と比べて、どちらが良いとは言えませんが。

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