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アドラー流は「部下を褒めない、叱らない、教えない」…“自分で動く”人材の育て方



2020年11月19日 公開

小倉広(組織人事コンサルタント/心理カウンセラー)

 

先回りして教えずに失敗を経験させる

アドラー心理学にもとづいた部下育成の三つ目のポイントは、「教えない」ことです。これは日本人が最も苦手とすることです。

子供が公園で少し高めのブランコに乗りたいと言い出したとき、多くの日本人の親は「危ないから止めなさい」と言います。

一方、欧米の親の多くは、子供が乗りたいと言うのなら、止めることはしません。ブランコから落ちて泣いてしまうかもしれないけれども、まずはやらせます。その代わり、大怪我をしないように見守ります。

なぜなら、親が子供を過剰に守ることは、子供の勇気の育成を阻害することになるからです。

また、子供は失敗を含めた様々な体験を通じて学び、成長していきます。これを、アドラー心理学では「結末を体験させる」と言います。

日本人は、家庭で親が子供に対してやっているのと同じことを、職場では上司が部下に対してやっています。部下が失敗しないように、「そのやり方ではうまくいかないから、こうしたほうがいいよ」と、先回りして教えてしまうのです。部下が失敗をすると、自分がダメな上司であるという評価を受けるのが怖いからかもしれません。

しかし、繰り返しますが、人は失敗を通じて成長します。「自分はこれが良いと思ってやったけれども、失敗してしまった。次はどうすればいいんだろう」と自分で考え、創意工夫を凝らすことで、成長することができるのです。

ですから、事業を傾かせるような大きな失敗は別として、部下が自らやりたいと言い出したことは、どんどんやらせて失敗させればいいのです。

 

チーム全体の信頼関係も築ける

「褒めない」「叱らない」「教えない」教育は、自ら成長していける意思と能力を備えた独立した個人として相手を扱い、また、相手に自立を促す教育であると言えます。

上司がこうした態度で部下に接すれば、部下も上司に心を開いてくれるようになります。

アドラー心理学では、良好な対人関係の4条件として、「尊敬」「信頼」「協力」「目標の一致」を挙げています。部下を尊敬し、信頼し、目標を一致させたうえで、部下の成功に対して協力を惜しまないという態度を取れば、部下もそれに応えてくれるようになります。チーム全体が、尊敬と信頼と協力と目標の一致に満ちた組織になっていきます。

そういう意味では、アドラー心理学による部下育成は、単に勇気を持って困難を克服できる部下を育てられるだけではありません。働く仲間たちを尊敬、信頼し、他者と協力しなから課題解決ができる人材を育てるうえでも、大きな効果を発揮します。

 



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