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「じっくり考える人」「すぐに動く人」… 研究者が調査した“どちらが幸せになれるか?”

2020年12月12日 公開

堀田秀吾(明治大学教授)

堀田秀吾(明治大学教授)

時間管理が難しいタスクの一つが、「考える」ということ。物事の判断や決断、アイデア出しなどは、なかなか満足がいかず、時間だけが過ぎていきがちだ。その科学的な解決方法を、明治大学教授の堀田秀吾氏に聞いた(取材・構成:池口祥司)。

※本稿は『THE21』2020年12月号より一部抜粋・編集したものです。

 

時間をかけてする選択が正しいとは限らない

「熟慮に熟慮を重ねた結果」という表現があるように、「あらゆる選択肢を考慮したうえで、時間をかけて検討するほうが、正しい判断ができる」と考えている人が多いでしょう。しかし、必ずしもそうではありません。

ラドバウド大学のダイクスターハウス氏らは、4台の中古車を用意し、参加者たちにそれぞれのスペックを説明して、その中から「お買い得な1台」を選び出せるかどうかを調べる実験を行ないました。

参加者たちは、(1)「よく考えて選ぶグループ」と、(2)「選ぶための時間が少ないグループ(制限時間が設定され、パズルを解く課題をしてから選ばなければならないグループ)」に分けます。

まず、「燃費」や「エンジン」など、4つのカテゴリーについての説明をしたところ、(1)はほとんどが、(2)も半数以上が「お買い得な1台」を選びました。これは、意外な結果ではないでしょう。

ところが、次に、説明するカテゴリーを12に増やして実験をしたところ、(1)で「お買い得な1台」を選んだのは25%以下でした。当てずっぽうでも25%なので、考えていないのと大差ありません。さらに驚くべきことに、(2)では60%の人が「お買い得な1台」を選んだのです。

この実験から、情報が多い状態では、考える時間がたくさんあれば正しい判断ができるわけではないことがわかります。

むしろ、限られた時間内で考えるほうが、重要だと思われる情報を絞って判断することになり、正しい判断をできる可能性が高まるのです。別の言い方をすれば、情報が多すぎると、些細なことが気になって判断を誤るということでしょう。

また、スワースモア大学のシュワルツ氏によると、より多くの情報を集めたうえで選択したいと考える「マキシマイザー(追求者)」は、自分が満足できる選択ができればいいと考える「サスティファイサー(満足者)」に比べて、後悔が多く、自己肯定感が低い傾向にあります。

情報を集めることに時間を費やすよりも、自分の中に判断基準を作り、それをクリアすればよしとするほうがいいでしょう。

 

どんな決断をするかより「決断すること」自体が大事

シカゴ大学のレヴィット氏は、「コイン投げサイト」と呼ばれるウェブサイトを作りました。閲覧者たちが「今決めかねていること」を書き込んだうえで、画面上のコインを投げるというものです。表が出たら「実行」、裏が出たら「実行しない」というメッセージが表示されます。

すると、書き込まれた悩みで最も多かったのは「今の仕事を辞めるべきかどうか」、次に多かったのが「離婚すべきかどうか」でした。そして、63%もの人が、コイン投げの結果に従って行動しました。

さらに、コインの裏表にかかわらず、悩みの解決に向かって何かしらの行動を起こした人は、半年後の幸福度が高いこともわかりました。つまり、幸福度に影響を与えるのは、「どちらの決断をするか」ではなく、どちらであっても「決断すること」だったのです。

コーネル大学のギロビッチ氏らによると、人間は、短期的には「やってしまった」ことの後悔をよく記憶している一方、長期的には「やらなかった」ことの後悔をよく覚えていて、さらに、やらなかったことへの後悔は時間を経ることで高まっていくということです。

また、「何かに集中している人は、そうでない人に比べて、幸福度が高い」という研究もあります(ハーバード大学のキリングズワース氏らの研究)。

ですから、何かをしようと思っているけれども行動できずにいるなら、コイン投げでも何でもいいので、まずは決断して、とにもかくにも一生懸命やってみてはいかがでしょうか。そのほうが時間の節約になるだけでなく、幸福度も高まるでしょう。

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