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「本の内容をよく覚えている人」が実践していること

2021年01月08日 公開

尾藤克之(コラムニスト・著述家)

 

読んだ本の記憶は、解決の引き出しに

世の中には「本をたくさん読んで知識や情報ばかり頭に詰め込んでも、実際の仕事には役立たない」「本を読むより、実践で学ぶべきだ」といった考えを持つ人もいます。

しかし、本を読んで内容を記憶として蓄積していけば、普段の仕事に必ず役立ちます。なぜなら本をたくさん読むことは、自分の中に「ケース」を増やすことと同義だからです。

私は経営学修士(MBA)を持っていますが、取得する過程で何を学んだかと言えば、大量のケーススタディです。「この課題に企業はどう対処したか」という事例を学ぶことで、自分の仕事で同じような場面に直面した際に、そのケースで使われた打ち手を応用できます。

覚えているケースの数が多いほど、自分の引き出しが増えるわけです。ビジネス書でも、様々な事例や仕事のパターンを知ることができます。本を読めば読むほど、多様なケースがストックされ、自社のビジネスや自分の仕事に活用できる幅が広がります。

ビジネスや経営の本だけが役立つわけではありません。小説や教養書を読んでも、その記憶をケーススタディとして活かすことができます。

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、カミュの『ペスト』がベストセラーになりました。これは1940年代に書かれた小説で、突如として伝染病の脅威にさらされた人たちが、どのように想定外の事態に向き合い、生き抜いたかが描かれています。

いくらビジネス書を探しても、「新型コロナにどう対処するか」を書いた本などありません。でも本の世界に目を向ければ、人類が過去に同様の危機をどう乗り越えてきたかを記した書物はたくさんあります。

よって『ペスト』の内容を覚えておけば、「危機が迫ると人々はこんな行動を取るのか」 「社会が混乱すると、悪いことを考える人間が出てくるのだな」などと記憶を引き出しから取り出し、目の前の課題解決に役立てられるでしょう。

また、普段仕事に関する本ばかり読んでいる人は、たまにはまったく別のジャンルやテーマの本を手に取ってみると、自分の引き出しを増やすことにつながります。例えば、いつもはビジネス書しか読まない人が、あえて料理本や健康本を読んでみる。

すると、今まで知らなかった面白い情報に出会えたり、思わぬところに自分の仕事との共通点を見つけたりといった、新たな気づきが必ずあるはずです。それもケースの一つとして記憶すれば、仕事に役立つ引き出しの数がどんどん増えていきます。

 

本から得た表現はすぐ使ってみよう

本を読む際は、「自分の立場に置き換えて読むこと」も、記憶への定着率を高めるコツです。例えば「企画書の書き方」についての本を読むとします。

そこでサンプルとして紹介されているのは業界Aの企画書だったとしても、自分が業界Bにいるなら、本に出てくる言葉を自分の仕事に使う表現や用語に置き換えながら読むわけです。

すると「このフレーズは自分の業界でも使えそうだ」「この言い回しは自分の業界で使うにはちょっと物足りないな」といった点が見えてきます。よって自分の仕事に役立つと思った部分だけを覚えて、あとは忘れてしまえばいいだけです。

いずれにしても、1日後には覚えたことを7割近く忘れるのですから、役に立たない内容まで頭に詰め込もうとするのは記憶力の無駄遣いです。

さらに大事なのが、役立ちそうだと思った内容を実際の仕事で積極的に使ってみることです。前述の通り、本から学んだことを記憶に留めて自分のものにするには、繰り返しアウトプットするしかありません。アウトプットすると、他者から反応がもらえるのも大きなメリットです。

本で覚えたフレーズを使って企画書を作成し、上司に提案したら、「この表現はいいね」「ぐっとくるフレーズだね」といった良い反応が返ってきたとしましょう。

褒められたものを成功事例として記憶にストックしていくと、自分の中に勝ちパターンができます。「今回は大事なプレゼンだから、前回褒められたあのフレーズで勝負しよう」といったように、自分の武器を増やせるのです。

反対に、「この企画書は力を入れて作ったのに、上司の反応はイマイチだった」といった失敗事例も覚えておくといいでしょう。「企画書の本を読んだときは、このフレーズは自分の業界でも使えると思ったが、実はダメだった」という体験も貴重なケーススタディになります。

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