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コロナ禍で大盛況?フィリピン英語留学のリアル

2020年12月15日 公開
2023年03月10日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(57)石澤義裕(デザイナー)

フィリピン語学留学

エアコン代をケチって、無料の扇風機で勉強中。汗がダラダラ流れるから、机の上にタオルを敷いています。

フィリピン語学留学4回!から見えてきたもの

モロッコでコロナに巻き込まれた旅フーフです。

世界中でロックダウンが騒がれはじめた春ごろ、フィリピンの英語学校から「生徒が帰国してしまって、食っていけない!」とSOSが流れてきたので、オンライン英会話をはじめました。

コロナ割引なるものがあって、1分間20円。ひとコマ25分で500円。週に3回で月6,000円だから、外出禁止の身には格安&格好の暇つぶしです。

いつの日かコロナが収まって海外渡航が自由になれば、「留学」でも特別割引があるかもしれません。

コロナのために失業or転職を余儀なくされて、ここらで一丁英語でも!って御仁が少なからずいるのではないかと思い、フィリピン留学4回というベテランのボクが、「はじめてフィリピン留学する“おじさん”に伝えたいこと」を8つにまとめました。

学校選びのポイントから先生との付き合い方まで、愚痴じゃないかってくらいリアルな留学体験談です。

 

1〈学校〉日本系 or 韓国系

大雑把に分けると、日本人が経営する学校と韓国系があります。

友達のAくんは、「留学中は一切日本語を話さない」と決意して、韓国系に入学。「学校生活をおくるために、韓国語も勉強しなくはならなかった」と泣いていました。

地頭がよければトリリンガルになれますが、普通のおじさんには日本人系をオススメします。

 

2〈食事〉質か量か

留学における一番重要な要素は、食事です。冗談じゃなくて。

食い意地が張っている御仁なら、ビュッフェ形式の食べ放題の学校へ。少食なら弁当形式の上品な学校へ。

ボクが通った馴染みの学校は、日本料理を得意とするベテラン・シェフ。一向に英会話力が身につかなくても笑顔で卒業できたのは、ひとえに美味しい食事のおかげです。

一方、Bくんの学校のシェフはズブの素人。Bくんがご飯の炊き方から教えたそうです。

ちなみに弁当形式だから美味しいという保証はありません。学校選びのポイントは、先生の経歴よりシェフの腕!

 

3〈洗たく〉自分で洗たくできますか?

お殿様系の性格なら、洗たく無料サービスの学校をオススメします。可愛い娘さんが丁寧にパンツを畳んでくれるので、褌を締め直して頑張れます。

自分で洗濯をするとなると、数少ない洗濯機を生徒全員で使うので、順番取りとか干す場所の確保とか、乾いたらすぐに取り込むとか、地味にストレスです。

 

楽園・フィリピンの誘惑

4〈場所〉都会より田舎へ

ご存知でしょうが、フィリピンは誘惑が多いです。

勉強に打ち込みたいなら、歓楽街の少ない田舎の学校を選びましょう。海が好きなら、山へ行きましょう。

いくら貴殿が遊ぶ気はない!と言い張っても、ボクのような輩が「どうです、一杯?」って誘ってきますから。

また、入学早々「英語は実践だ!」って啖呵を切って、夜な夜な歓楽街に繰り出す不良おじさんが少なからずいます。

留学は、友達選びから!

フィリピン語学留学

安いローカル食堂街。治安が悪そうに見えて、意外に安全。強盗が出没するのは、人通りの少ない学校周辺です。

 

5〈宿舎〉マンションから屋根裏部屋まで

比較的料金の高い学校は、マンション。セキュリティが良く、安全です。

安い学校は安いなりのクォリティです。びっくりするほど頻繁に泥棒が入るし(←鍵穴から睡眠薬を垂らして眠らせるという噂)、近所を歩けば強盗に遭うし(←Xくんは、学校のすぐ目の前でカメラとパソコンを盗まれてました)、それなりの待遇を受けます。

部屋にもグレードがあります。

同級生のDくんの部屋は、一軒家のキッチン。シンクの前にベッドがあって、顔を洗うには便利ですが、毎晩、ゴキブリとの闘いです。

Eくんの部屋は、屋根裏部屋。フィリピンの夏はシャレにならないくらい暑いので、日中は公園で勉強してました。

また、料金の安い学校のエアコンは、1時間単位で使用料がかかることもあります。

いっぱしのおじさんなら、収入に見合ったグレードを選んだほうが身のためです。

 

6〈先生〉ドタキャンはあたりまえ

ボクが出会った先生の多くは、プロ意識に欠けています。というか、そもそもそんなものはないです。英語学校はたくさんあるので、首になってもすぐに転職できるって自慢していたので。

授業のドタキャン、無断欠席は珍しくありません。

体調が悪いと言って休んだ先生が、SNSに元気そうな写真をアップしているなんてよくある話で、学校側も馴れているので問題が大きくならないという問題の大きさです。

あるママさん先生は、3歳くらいのお子さんを連れて授業。子どもが泣くたびに、あらあらどうしたの〜、わたしの可愛い坊や〜ってあやしていて、育児の邪魔をして恐縮でした。

あまりにも貧乏ゆすりがひどい先生に、やめてくれ!って言ったときは、貧乏ゆすりのどこがイケナイというのか!ということをコンコンと1時間くらい説教された気がしますが、英語だったので真相は不明です。

 

7〈期間〉身のほどをわきまえて

ボクがはじめて留学したときは、2か月半。とてつもなく長かったです。モチベーションを保てません。

若人ならTOEICの試験とか目標があるから頑張るけど、おじさんは数値目標がないかわりに満足度を求めるから、ひたすら消耗します。

また、自分はやればできるんだ!って妄想をお持ちの方は、理想と現実のギャップに押しつぶされます(ソースはボクです)。

ときに3〜6か月間くらい申し込んだ生徒に会いますが、授業中に先生と映画を観て疲れを癒したり、授業中以外は編み物をして時間を潰したり、カフェで惚けていたりして、英語から離れようとしていました。

1年間ぶんのお金を払って、半年もたずに帰国した猛者もいます。

悪いことは言いませんから、初めての留学はひと月間にしたほうがいいです。

ひと月後に帰国してから、もう一度行く?って自分に尋ねたほうが、費用対効果があがります。

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