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Cake.jp「ケーキは『食べる前に解凍』が美味しいことを知ってほしい」

2021年01月07日 公開
2022年10月25日 更新

【経営トップに聞く 第42回】高橋優貴(Cake.jp代表取締役社長)

高橋優貴

ケーキは、食品というよりも「アート」

――ECサイトの運営に留まらず、新たにケーキ店を創業したようなものですね。御社の沿革を見ると、何度も業種を変えてきているようですが。

【高橋】2008年にFlashを使った広告の制作を始めたのが、当社の始まりです。僕はデザインとプログラミングが得意なので、それを活かして始めました。

 様々なジャンルの広告を制作したのですが、化粧品やアパレルのように、特にデザインとの相性が良いジャンルがあって、スイーツもその1つです。スイーツは食品なのですが、アートに近い。けれども、化粧品やアパレルと違って、デザイナーが入り込んでいませんでした。そこで、スイーツとデザインの掛け合わせにはすごく可能性があると感じました。

「どういうスイーツを作ったら広告映えするか」という発想で商品開発をしているケーキ店はなかったので、そこで勝負しようと思ったのです。

 広告制作の仕事は、どうしてもクライアントの意向に従わなければならないので、自分としては妥協しているところがありました。ですから、自由に満足できる仕事ができるよう、自分でサービスを立ち上げたいという思いもありました。

――ただ、すぐにケーキに特化したECサイトを始めたわけではないですね。

【高橋】広告の仕事でできた色々なつながりを活かして、ギフトのECサイトを始めました。

 そこで気づいたのは、ギフトは、誕生日やクリスマスなど、購入するタイミングが決まっているので、そのタイミングでお客様にアプローチできるかどうかが勝負になるということです。例えば、お歳暮のシーズンなら、お歳暮を贈る習慣がある方にアプローチしなければなりません。

 そのためには、ユーザーのデータが必要です。データを持っている者が勝つビジネスで、データを持っていない新規参入者にとっては、効率的に事業を拡大するのが難しい。

 そこで、ギフトの中でも、ケーキに特化することにしました。ケーキは、ギフト需要の他、衝動買いもある商品ですから、データを効率的に集めやすいんです。

 データを集められたら、もう一度、ギフトに広げたいと思っています。ただ、一気にギフト全般に広げるのではなく、例えばパンやグラノーラのような、ケーキに近いところから広げたいと考えています。

――実際、データの収集も順調に進んでいる?

【高橋】そうですね。女の子がいる方は雛祭りのシーズンにホールケーキをよく買うとか、10代後半~30代の女性にはバレンタインの時期にチョコレートが売れるというような、季節性に関するデータが数多く集められていて、他のギフトにも活かせると思います。

 まずはケーキ業界でやり切りたいと思っていますが、3~4年後にはケーキ以外のギフトにも進出できると思います。

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