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睡眠1時間半バイト生活、プレス機で指を切断も…苦学のゾマホンさんに訪れた“突然の転機”



2021年02月10日 公開

ゾマホン・ルフィン(IFE国際財団理事)

 

1時間半睡眠の生活で指の切断事故に遭う

でも、1994年3月17日に中国から日本に渡ってからのほうが、もっと苦労しました。

もともと私は日本に興味がありました。資源がないのに品質の良い電化製品やクルマを作れて、豊かなのはなぜか、知りたかったのです。

保証人になってくれる人がいたので留学はできたものの、ベナンと日本の間には国費留学の制度がなかったので、今度は私費での留学です。学費と生活費を稼ぐために、アルバイトを三つ掛け持ちしました。

朝6時半に起き、高円寺の自宅から電車で江戸川区小岩の日本語学校へ行き、午前中いっぱいは勉強。その次は14時から20時まで、千葉県の印刷会社でアルバイト。最寄り駅からは走って通勤していました。バスに乗るお金はないし、歩いていたら間に合いませんから。

夜は都内に戻り、日本人に中国語を教える仕事と、引っ越し業者での荷物運びの仕事。自宅に戻るのは午前3時で、それから学校の宿題をして、寝るのは5時。睡眠時間は1時間半です。

この生活が続き、疲労困憊の中で、事故に遭いました。印刷会社のプレス機で、左手の人差し指の先を切断してしまったのです。30歳のときです。

この事故は労災と認定され、保険金が下りました。そのお金で、上智大学大学院の入学金を支払うことができたのです。この事故がなければ、私は日本の大学院に入学できず、ベナンに帰っていたかもしれません。

 

給料日に立ち寄った高円寺のラーメン店で起こった「人生の転機」

大学院に入学してからもアルバイト生活は続けていました。

そして98年の、奇しくも日本に到着したのと同じ3月17日、深夜のアルバイトを終えて、給料日だったので味噌ラーメンを食べようと入った高円寺のラーメン店で、タレント事務所の人にスカウトされました。

話を聞くと、赤坂のテレビ局で収録がある番組に出てほしいとのこと。しかも、ギャラはバイト代よりもはるかに高い。もちろん、二つ返事で承知しました。

その番組が『ここがヘンだよ日本人』でした。以降、長くお世話になる北野武さんとの出会ったのも、そのときです。

それから、同番組をはじめ、たくさんのテレビ番組に出演する機会をいただきました。

出版した著書の印税で建てた「たけし小学校」などをはじめ、ベナンに六つの小学校を建てることもできましたし、ベナンの教育や医療、就労システムの構築に取り組むIFE国際財団を立ち上げることもできました。

2012年からは駐日大使も務めました。母国のために働くという夢を実現できている、幸せな毎日です。

これはひとえに、日本の皆さんの応援のおかげです。「おかげさまで」という日本語を、日々、噛み締めています。

一見、災難としか思えないあの事故に遭ったおかげで、日本の大学院に入ることができ、その後の活動ができた。事故に心から感謝しています。

 



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