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一流企業のトップに「傍流出身」が増えている理由



2021年03月25日 公開

冨山和彦(経営共創基盤[IGPI]グループ会長)

 

「万年野党」もまた、リーダーとして不適切

逆に、常に非主流という生き方も問題である。権力にずっと虐げられていると、反発体質のみが強くなる。何でも反対すればいいという方向に傾きがちで、反対のための反対しかできなくなる。知らない間に人間性が野党的になってしまうのだ。

自ら能動的、建設的に考える力、現実的で実行可能な提案を行う能力は、万年野党精神では絶対に身につかない。責任もないから本質的にお気楽仕事。先述した陰口と愚痴をうじうじいっている人生と本質的な差はないのだ。

何でも反対という人物は、権力の持つ可能性と限界、そしてその本当の怖さを知らない。可能性と危険性を知らないから、権力に対して反発することは得意だが、権力をうまく使いこなすことができない。

だから何かの拍子でリーダーになってしまうと、権力の表層的な強さ、命令権や罰則に頼って人心の離反を招く。あるいは権力の大ナタを振りおろしたら、空振りをして自分の足を傷つけてしまう。

こうしていざリーダーとなったとき、何もできないままで終わることになる。かつての民主党政権が、まさにその好例だ。

一方、戦後最長となった安倍政権の評価については賛否両論あるが、少なくとも経済政策については、大胆な金融緩和策やコーポレートガバナンス改革を巧みなトップダウン型でやり遂げ、一定の実績を上げたと評価すべきだろう。

これは、第一次安倍政権があまりに性急に改革を進めようとして失敗した「挫折」から学んだ点も大きかったと思われる。権力の怖さを知ったからこそ、それをうまく使いこなせるようになったことが、長期政権を生んだ要因の一つではないだろうか。

 

小さくてもいいので、組織のリーダーになっておこう

こう考えてくると、やはり若いうちに、どんな小さな集団であれリーダー的な立場を経験したほうがいい。主流である必要はなく、とにかく人を率いて、権力を振るってみる。そうすれば権力を行使する難しさを体感できる。

しかし若いうちに任されるのは大抵弱小集団であり、自分の立場も中間管理職的。大派閥や組織上層部の力に翻弄され、挫折する。そうして初めて権力の恐ろしさを知ることができる。

上司と部下、株主と顧客、いろいろな板挟みに悩まされ、いかに自分の持っている制度上の権力が無力なものかも思い知るだろう。

また、その過程で、権力の裏側にある「責任」の本質、すなわち自分の力が他人の人生に影響を与えること、それも力を正しく使うことができれば、他人の人生にポジティヴな影響を与え得ることも知るはずだ。

ここにこそ、人が人とかかわりながら生活していく社会的生きものとしての人間の生の醍醐味があり、それを最も多く享受できるのがリーダーという役割なのである。

 



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