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「滝沢カレン」「ピューロランド」がコロナ禍でバズった理由

2021年06月16日 公開

本田哲也(PRストラテジスト)

 

休館中でもファンを感激させたサンリオピューロランドの動画

ここでさらにもうひとつ事例を紹介したい。新型コロナによる外出制限のために苦しい状態にある業界の代表、テーマパークである。パンデミック下でいち早く休館を決めた「サンリオピューロランド」のファンとのエンゲージの取り方が素晴らしいのだ。

サンリオグループのサンリオエンターテイメント(以下、サンリオエンタ)が運営する「サンリオピューロランド(以下、ピューロランド)」は、屋内型のテーマパークである。天候に左右されないため、赤ちゃん連れのファミリーや、休日を利用して来館する大人のファンでも安心して楽しめることが強みだ。

しかしコロナ禍で、ファンの間からは長時間室内空間に滞在することに対する心配の声が上がっていた。そこでサンリオエンタは、2020年2月21日に同施設の臨時休館を発表。翌日には休館となった。

ちなみに、全国の小中学校などの臨時休校要請が発表されたのは2月27日なので、非常に素早い決断だったと言える。サンリオエンタはさらに3月20日に、4月上旬まで臨時休館を延長することを発表している。

それが3月23日、ツイッターで「サンリオピューロランド公式」「ピューロランド」が突如トレンド入りした。それはユーチューブ上の公式チャンネル「purolandJP」に公開された動画がきっかけだった。動画のタイトルは「ピューロランド、休んでたって…」。

動画には、誰もお客さんがいない館内の照明をLEDに交換したり、レストランの新しいメニュー開発に励むスタッフの姿や、掃除をしたり、ダンスの練習をしたりするサンリオキャラクターたちの様子が映し出されていた。

舞台裏を映したこれらの動画は大きな反響を呼び、ピューロランドのファンのみならず、子どもの頃にサンリオキャラクターに慣れ親しんだ多くの大人の心を揺さぶり、ツイッターでトレンド入りを果たす。

このような大きな反響を得られたのは、エモーショナルでSNSで拡散されやすい仕掛けが施された動画であることはもちろんだが、それ以前に、この動画を受容してくれるファンとのエンゲージメントがすでに育まれていたから、と僕は見ている。

実はピューロランドはしばらく人気が低迷していた。しかし2016年に小巻亜矢氏が館長に就任してからV字回復を果たし、2009年度は約108万人だった年間入場者が、2013年度は約119万人、2018年度は開業以来初めて200万人を突破する。

小巻氏はスタッフ教育を徹底して接客レベルの向上を図ったほか、ファミリー層のみならず、20~30代の女性をターゲットにした施策を打ち、ダンスやショーに力を入れファンの裾野を広げる。

つまり平時から、ピューロランドにおけるホスピタリティを重視していたからこそ、臨時休館中のSNS施策に取ってつけたようないやらしさがなく、ファンとのコミュニケーションが潤滑に行われたのだろうと思う。

いくらツイッターで発信しようが、リアルな場に行けない期間が長く続くと、テーマパークなどを含むエンターテインメント業界はファンとのエンゲージメントが下がってしまう。

しかしピューロランドは裏側を見せることで大きな反響を得て、ファンとのエンゲージメントを取ることに成功した。そしてこれら一連の動きは、離れていても、考え抜けば、ファンとのエンゲージメントを取る方法はあるはずだ、という示唆を与えてくれる。

 

企業と生活者との「新しいソーシャルディスタンス」

さて、そろそろまとめに入ろう。ここ数年、もともと企業コミュニケーションはSNSの普及により顧客との接点は多様化、複雑化しており、リアルとデジタルそれぞれの価値を融合させるという潮流があった。ところがそこに、新型コロナウイルスの流行が世界を襲った。

このパンデミックは、リアルでのイベントという接点を設定できないという大打撃を与える。そのような困難な中で新しいアイデアを出した企業もあるが、エンゲージメントの観点からすると、大きな打撃であることに変わりはない。

しかし悪いことばかりではない。ソーシャルディスタンスという言葉は社会学では人間同士、集団同士の社会的距離や間合いの取り方を意味している。

コロナ禍によってもたらされたのは、顧客との新しい間合いやエンゲージメントの取り方を開発したり、考えたりするチャンスなのだとは考えられないだろうか。

 

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