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元シャープの技術者が社長に。「何か」が違う美容家電で急成長

2021年09月07日 公開

【経営トップに聞く 第52回】高田栄和(KALOS BEAUTY TECHNOLOGY代表取締役)

KALOS BEAUTY TECHNOLOGY

CANDYを手に持つ高田栄和氏

脳梗塞から回復し、様々な技術を組み合わせた新製品を続々発売

――順調な滑り出しだったわけですね。

【高田】私自身は、CANDYを発売した翌月の2019年8月に倒れて入院しました。熱中症から脳梗塞になって、右半身が動かなくなったんです。

 9日間集中治療室に入って、入院期間は3カ月と言われましたが、18日で退院できました。前職でEMS(筋電気刺激)の製品も作っていたのですが、新しいEMSを使ってリハビリをすると、あっという間に復活しました。

――その後も、次々と話題の商品を出していますね。

【高田】2019年11月に、クラウドファンディングで約430名にご支援をいただいて、洗顔ブラシのFacleaを発売しました。音波と磁気ボールを使った洗顔ブラシです。「洗顔ブラシ口コミ満足度」「洗顔ブラシ顧客満足度」「美容関係者がオススメする洗顔ブラシ」の3部門でNo.1をいただきました(実施委託先:日本トレンドリサーチ 2019年12月実施:サイトのイメージ調査)。

 その次に発売したのが、Grace eyeという、業界初の持ち運びができる美顔器です。わずか28gで、特別なLEDと、コラーゲンを引き締める24度の温熱、バイブレーション、美容液を浸透させるマイクロカレント(微弱な電流)の4つの機能を盛り込みました。電池を内蔵していて、触れるとスイッチが入ります。

 2020年7月には、Stylish Steamerという衣類スチーマーを発売しました。スチームの量は業界トップレベルです。しかも、ナノスチームで、湯飛びしません。ティッシュペーパーを当てても濡れないんです。

 アイロン型ではなくドライヤー型で、折り畳みもできます。置き台も工夫しました。1年間で2万台ほど売れました。

 私はシャープ時代から一人暮らしで、ずっと衣類スチーマーを使っていたのですが、使いにくさを感じていたので、業界最高のものを作ってやろうと思ったんです。

 ちょうどコロナ禍だったので、除菌テストもしたところ、99.9%除菌ができました。除菌ができる衣類スチーマーは業界初です。臭いが取れることも、テストで確認しました。

 さらに2020年11月に、クラウドファンディングで1284名のご支援をいただいて、MiMi cleanという耳かきを発売しました。カメラがついていて、耳の中の映像をスマホで見られるものです。『通販だけ生活』(テレビ朝日)などでも紹介していただきました。

 カメラについては、私はシャープで企画部長をやったこともあり、J-PHONEの世界初のカメラ付携帯電話を企画したのも私です。

 KAZE nice Dryer Premiumというドライヤーも発売しました。本体370g、コードを入れても450gと非常に軽く、使っていて疲れません。角度調整ができるスタンド付きで、業界初のハンズフリーで使えるドライヤーです。風量の調整はダイヤル式で、6段階ほど変えられます。

 テラヘルツの遠赤外線が出て、リフトアップもできます。キューティクルも傷みません。これらのエビデンスも取っています。

 当社は美容と健康と生活の会社で、電気製品ではないものも開発しています。2020年12月には、スライパンというフライパンを発売しました。金属に凹凸をつけた上にコーティングをしているので、コーティングが馴染んで、本当に油を使わずに料理ができます。200万回の摩耗テストをしています。これもクラウドファンディングで、674名にご支援をいただきました。

 同じく2020年12月には、Glister brush & ironというブラシアイロンも発売しました。世界初の、ACコードがついていない、USBタイプのブラシアイロンです。18WのUSB充電器が登場したおかげで、パワーが必要なブラシアイロンにもUSBが使えるようになったんです。遠赤外線とイオンが出る機能もついています。

 昨年は製品開発イヤーで、今年は半年間、そのプロモーションに力を入れています。今秋から、また新製品を次々と出していきます。

 当社の製品は安いことも特長です。会社としては儲からないのですが(笑)、良いものを1人1品持っていただきたいからです。

 シャープで携帯電話を扱っていたときも、1人1台を目標にやっていました。カメラをつければもっと普及するだろうと考えて企画したのが、カメラ付携帯電話です。当時は携帯電話のカメラが10万画素、デジカメが300万画素でしたから、「誰が使うんだ」とさんざん言われましたが、半年間、社内を説得して実現しました。そして、今や当たり前のものになっています。

 当社の製品も、携帯電話にカメラをつけたように、今まであったものだけれども、何かが違うものを、様々な技術を組み合わせて作っています。

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