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元シャープの技術者が社長に。「何か」が違う美容家電で急成長

2021年09月07日 公開

【経営トップに聞く 第52回】高田栄和(KALOS BEAUTY TECHNOLOGY代表取締役)

KALOS BEAUTY TECHNOLOGY
Stylish Steamerを手に持つ高田栄和氏

シャープで様々な製品を手がけたことが今に活きている

――製品開発は、どういう体制でしているのですか?

【高田】私が倒れたあと、前職の企業から2人、部下だったエンジニアが来てくれました。1人は東京、もう1人は名古屋にいます。その2人と私とで開発をしています。

 開発会議は、6人で、3カ月に1回しています。3人以上が賛成すれば、開発をスタートさせています。半数以上が欲しいと思う製品なら、お客様も欲しいと思うだろうと考えています。

――失礼ながら、高田代表は美容家電のユーザーからは外れているのでは?

【高田】十分ではないかもしれませんが、前職で女性のニーズをずいぶん勉強させていただきましたので。シャープでも、雪肌精とコラボしたプラズマクラスターミストなど、美容製品も作らせていただきました。

――御社のような製品を、大手企業は作れないのでしょうか?

【高田】作れるはずなのですが、実は、どんな材料や技術を使えばどんなことができるかといったことを、全部わかっている人は少ないんです。

 私はシャープで半導体の設計をさせていただき、その次にインテルとのフラシュメモリの事業を担当したときにCPUの勉強もさせていただいて、その後、カメラやセンサーのモジュールも担当しました。最後は、戦略本部でマーケティングもやりました。様々な技術や知見を身につけたことが、今に活きていると思います。

 シャープの専務になられた方ですが、私の恩師に当たる方に目をかけていただき、様々な経験をさせていただいたことが大きいですね。

――会社の資金がうまく回るようになったのは、いつ頃ですか?

【高田】つい最近です。2020年はコロナ禍の影響を大きく受けて、金融機関から多額の支援を受けました。それを、会社の運転資金に回さず、新製品の開発資金にしたんです。6000万円ほどを投じて、その返済を今年3月に終わらせました。

――今後の展開は?

【高田】仕込んでいる新製品を出していく他、OEMの案件も3件ほど進めているところです。当社の技術を面白いと思っていただけることは、とてもありがたいです。

 OEMでは、既に、2020年12月に化粧品メーカーが発売したEMS浸透マスクを、当社が作っています。

――会社の規模は大きくしていく?

【高田】5年後までに売上高を30億円にしたいと考えていますが、社員数は最大10名だと考えています。今は6名です。

 営業部隊を自社で持つのはコストがかかりますし、電響社グループとも非常に良い関係なので、餅は餅屋で、営業は電響社様にお任せしたい。工場も、餅は餅屋でパートナーにお願いをして、当社は企画・開発・販売だけに特化したいと思っています。

――海外展開は?

【高田】中国では、電響社を通じて、アリババで販売を予定しています。ASIA GOLDEN STAR AWARD 2019の商品賞をCANDYで受賞した関係で、ベトナムでも販売しています。また、先日、英国最大のネットショップからもお声がけをいただいて、商談をしているところです。

《写真撮影:まるやゆういち》

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