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今さら自分探し?...会社一筋だった50代が問いただす「働く意味」

2021年09月29日 公開
2024年01月29日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

 

自ら学ぶことで未来のシミュレーションができる

私は前職で、まさに学びの情報誌「ケイコとマナブ」や「仕事の教室」「好きを仕事にする本」の編集長を歴任しました。編集方針の一つとしていたのは「学びは未来のシミュレーション」。自分が目指す仕事をしっかり定め、必要な資格やスキルを学び身につけることは大切です。

一方で学びのもう一つの効用は、薄っすらと関心を持った分野を学んでみることで、ぼんやりとした夢が一歩リアルに近づいてきて、本当に自分に向いているか、働きがいや喜びを感じられるか、未来をシミュレーションできることです。

私自身の例を紹介しましょう。やりたい仕事は見つかっていなかったものの、独立はしたいと考えていた私は、税理士の資格取得を思い立ちました。

そこで働きながら資格スクールに入学し一から会計を学び始めました。しかし基礎となる簿記資格を取った段階で、「これは自分に向いていないな」と気づきました。

税理士の仕事自体は社会に必要不可欠なものです。でも、どうも私はこの分野にワクワクしない。

「そうか、数字と向き合うより、人と向き合うことをライフワークにしよう」─―こう進路を考え直したのです。

失敗例と思われるかもしれませんが、会社を辞めて退路を断ったわけではありません。学んでみた結果、自分にとってフィットしなければ考え直せばいいだけです。

後日談として、別の部署に配属されていた私は異動願いを出し、人の未来シミュレーションを応援する「ケイコとマナブ」編集部で働くことになっていったわけですから、むしろ夢がクリアになりその夢をつかむために進めたとすら考えています。

大切なことは、自らの意志で一歩を踏み出すこと。皆さんも、本当の自分に出会うために、新たな学びの扉を開いてみませんか。

 

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