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61歳で起業した女社長が「自分にも期待しない」納得の理由

2021年10月07日 公開

村本理恵子(ピーステックラボ代表取締役社長)

 

100人に断られても「何とかしよう」と考える

――ただし、既存の組織を離れて独力で起業するとなれば、やはり様々な苦労が伴う。村本氏の場合も例外ではなかった。

【村本】前職は上場企業でそれなりの役職に就いていましたから、会社の名刺があれば仕事ができました。でも会社を離れて肩書きがなくなれば、ただの一兵卒でしかありません。起業するには資金集めが必要ですから、ベンチャーキャピタルや投資家に頭を下げて、出資をお願いして回りました。100人はお会いしたと思います。

でも相手から見れば、私はまだ何の実績もない起業家です。熱心にプレゼンしても、『こんなビジネスは面白くない』とか『自分なら他人からモノを借りたいとは思わない』などと言われてしまう。

ベンチャー経営者は若い人が多いので、『なぜその歳で起業するのか』『老後の道楽じゃないの?』と辛辣な言葉が飛んできたこともあります。

――それでも村本氏が諦めることはなかった。出資を断られるという経験さえも、前向きに捉えることができたからだ。

【村本】私が提案するビジネスに否定的な意見が返ってきたとしても、『なるほど、そういう視点もあるのか』と新たな気づきを得られる。だからこの経験は、決して無駄ではないと思えました。

そもそも起業に限らず、組織の中で新しい事業を始める場合でも、何かしら否定的な声が上がるものです。予算が厳しいとか人が足りないとか、できない理由はいくらでも挙げることができますから。でも私は、常に『何とかしよう』と考えてきました。できないことを前提とするのではなく、『どうすればできるのか』を考える。

『○○だからできない』という受け身の思考でいると、新しいことに挑戦するのが不安になるかもしれませんが、できることを前提にすれば、マインドも自然と前向きに切り替わる。そうすればストレスもないし、大変なことがあっても自分の中でうまく消化できます。

 

就活で直面した男女差別という壁

――もちろん村本氏も、若い頃から今のようにうまくメンタル管理ができたわけではない。様々な苦労や悩みを経験しながら、自分なりに心の保ち方を身につけていったのだと振り返る。

【村本】私にも、壁にぶつかって悩んだ経験が山ほどあります。最初の壁に直面したのは、就職のときでした。男子学生には企業から山のように就職案内のパンフレットが送られてくるのに、女子学生にはまったく来ない。

女性が就職活動をしても、企業から『コピー取りやお茶汲みの仕事しかありませんよ』と言われてしまう。男女雇用機会均等法が制定される以前は、そんな状況でした。

学生時代は男女平等だったはずなのに、社会に出ると性別でこんなにも大きな差がある。その現実に愕然としました。でも私は、男性の補助的な仕事しかできないのはつまらないと思った。だからこの壁はどうしても乗り越えなければいけないと考えました。

そこで諦めずに就職先を探し続けるうちに、性別に関係なく仕事ができる会社と出会うことができたのです。このときから、『自分の考えをしっかり持って自ら動かないと物事を変えるのは難しい』という意識が芽生えました。

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