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何を言っても聞いてくれない...思春期の子に親がすべき「子離れ宣言」

2021年10月22日 公開

高濱正伸(花まる学習会代表)

 

親の代わりに「我が子の教育係」になるのは?

とはいえ、同性の親でも、今までのようにあれこれ世話を焼いたり、説教をしたりしていたら、子どもに「ウザい」と言われてしまいます。だからといって注意しないと、子どもはどんどんダラけていってしまいます。そこで私がおすすめしているのが、「外の師匠」に頼ることです。

外の師匠とは、学校や塾の先生、スポーツクラブのコーチ、ピアノの先生、部活動の監督など、子どもの心身を鍛えてくれる年上の第三者のことです。思春期になると、このような外の師匠を自然と求めるようになります。親の言うことは聞かなくても、外の師匠の言うことは、素直に聞くものです。

親には「うるせえんだよ」と悪態をついたり、無視したりする我が子が、スポーツクラブに行くと、監督やコーチに対して、きちんと敬語を使い、「はい、わかりました!」と大きな声で返事をしているなんてことはよくあります。

理想的なのは、この「外の師匠」が人生経験豊かで、筋が一本通った人であることです。スポーツや芸術に関して指導しながらも、この先、人生を歩んでいくうえで大切なことを教えてくれるでしょう。

なぜ礼儀が大切なのか。なぜチームメイトを助けることが必要なのか。なぜ基本が大切なのか...そのようなことを親の代わりに伝えてくれるのです。親ができることは、「外の師匠」に出会えるようなサポートをすることです。部活動や習い事に関してはどんどん奨励しましょう。

 

憧れの先輩がメンターに

スポーツクラブや習い事、部活動などの良いところは、外の師匠だけではなく、「少し年上の先輩」にも出会えることです。

思春期には、こうした先輩の存在も非常に重要です。尊敬する先輩がいると「あの人のようになりたい」と考え、手本にしたり、追いつくための努力をしたりするようになります。自然と、前向きな気持ちを持てるようになります。

私自身、そのような経験をしています。高校入学後に野球部に入ったところ、目標となる先輩とたくさん出会えました。

「あの先輩みたいに速い球を投げるにはどうすればいいか」
「あの先輩みたいに盗塁がうまくなるにはどうすればいいか」

自分の課題に没頭し、やる気を失わなかったのは先輩たちがいたからです。おかげでキツい練習にも必死でついていき、体力や根性が鍛えられました。また、先輩と親しくなると教えてくれることも多いものです。

敬語をはじめとした礼儀作法や、アドバイスを受ける時の態度、OBへの気遣いなど、社会に出てから人づきあいで必要になるものばかりです。

このように、親はあえて教えないけれど知っておいてほしい大事なことは結構あります。また、親からは伝えにくいこともあるでしょう。そうした時に、憧れの先輩は頼りになるものです。

かつては、地域社会で青年会があり、自然に受け継がれていった経験や知識も、時代とともに、意図的にどこかに所属しなければ得られなくなりました。子どもが外から学ぶ機会をつくってあげる。これも親の役目です。

 

「尊敬できない大人」との出会いも仕掛ける理由

さらに、子どもに刺激を与えるには、外の師匠や先輩以外にも、様々な大人の話を聞く機会をつくってあげましょう。「たくさんの大人が出入りする家の子どもは、人間力が高い」などというように、多様な価値観に触れていると、その子の人生観や生き方の軸が確立していきます。

人生観や生き方の軸の形成に欠かせないのは、その分野で第一人者と言われている人との出会いです。スポーツでも芸術でもそうですが、一流の人の言動や振る舞い、たたずまいは、明らかに他の人とは違います。

そうした人の姿を見て、話を聞くと、子どもは感銘を受け、「この人のようになりたい」と言動や行動をマネするようになります。自治体が主催する講演会なら安価に話を聞けます。今なら、オンラインセミナーなどで話を聞いても良いでしょう。

また、ちょっとややこしい人と接することも重要です。たとえば、いつも怒っている親戚のおじさんがいたら、敬遠しがちですがあえてコミュニケーションをとらせるのです。すると「なんでこのおじさんはいつも怒っているのか」その背景がわかります。

聖人君子ばかりではなく、エゴをむき出しにした、ある意味人間らしい人と話すことが、豊かな人生観を育てます。また「狡猾な人とは」「信じてはいけない人とは」といった経験値が積み上がり、人を見る目が養われるのです。

ちなみに、問題児とされている子どもが同学年にいると、「〇〇くんと遊んじゃダメ」などと言いたくなるかもしれませんが、それはいけません。苦手な人も含めていろいろな人と接することが、人間関係を学ぶことにつながるからです。

社会に出れば、気の合う人、苦手な人、理解できない人、親よりも尊敬できる人、いろいろな人に出会います。「こういう人、いるよな」と免疫をつける意味でも、反面教師にする意味でも、多様な価値観に触れる意味でも、様々な大人の話を聞く機会は大切なのです。

 

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