THE21 » ライフ » 年齢は障壁にならない... 運動で変わった「90歳女性インストラクター」の人生

年齢は障壁にならない... 運動で変わった「90歳女性インストラクター」の人生

2021年10月18日 公開
2023年02月21日 更新

瀧島未香(フィットネスインストラクター)

瀧島未香

日本最高齢のフィットネスインストラクターとして活躍する瀧島未香氏。とても90歳とは思えない健康的な身体だが、運動を始めたのは、なんと65歳のとき。運動未経験からインストラクターになった転機を聞いた。(取材・構成:林加愛)

※本稿は『THE21』2021年10月号より一部抜粋・編集したものです。

 

65歳、運動経験ゼロでジム通いを開始

「90歳のフィットネスインストラクター」。この肩書には、皆さん、びっくりされるでしょう。でも、今の私を見て一番驚くのは「昔の私」だと思います。私は、ごく普通の娘時代を送り、ごく普通の妻、母として長年過ごしました。若い頃も中年期も、運動経験は皆無です。

そんな私が今につながるスタート地点に立ったのは、1996年、65歳のときです。何があったかと言うと、太ったのです。二人の娘が独立して、夫と二人の生活になり、家事が楽になって、時間もたっぷり。毎日食べて飲んで、ゴロゴロしながらテレビを観ている生活で、みるみる身体が変わりました。

41kgだった体重が57kgになり、夫も子供たちも「太ったんじゃない?」と口々に心配するようになったのです。「そんなことないわよ」と口では言うものの、確かに身体が重くて動きづらいし、お風呂掃除をしようにも、お腹の肉が邪魔をして手が伸ばせない(笑)

服のサイズもどんどん変わり、現実を認めるしかなくなりました。とにかく痩せないといけない。でも、食事は制限したくありませんでした。私は食べることが大好きですし、不健康な痩せ方になるのも嫌だったのです。そんな折、夫が勧めてくれたのが、近所にあるフィットネスクラブでした。

運動なら健康的に痩せられそう、と興味が湧きました。ジョギングやウォーキングは自己流になる可能性もありますが、きちんと教えていただける環境なら安全だし、確実に目的にたどりつける――。そう思って、入会を決めました。

 

「運動好き」な自分を初めて知った

運動経験ゼロとあって、最初は何をしていいかもわかりません。筋トレ、ダンス、水泳...多種多様なクラスのいずれも未知の世界でした。

エアロビクスも、初めは先生や生徒さんたちの何やら複雑な動きを、ただ遠巻きに見るだけでした。でも、よく観察すると同じ動きを何度も繰り返していることに気づいたのです。

これならできそうだから、ちょっと参加してみよう...と最後列に加わり、慣れてきた頃、少し前へ。さらに上達してきて、もっと前へ。気づくと、最前列の真ん中で踊っていました。

水泳も同じです。私はもともと泳げなかったので、プールの中を歩くだけでいいと思っていたら、3年後にクロールを、次いで背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライも習得しました。そして筋トレでも、挙げられるダンベルの重さがどんどん増えていきました――そう、私はすっかり、運動にはまり込んだのです。

上手になるのが嬉しい、身体を動かすのが楽しい。自分が運動好きであることを、70歳を前にして、初めて知りました。その頃はもう「痩せる」という当初の目的は達成していましたが、ジム通いは変わらず。定休日以外は、9時半から17時まで、休まず日参しました。

夫が帰宅するギリギリの時間までジムにいたかったので、朝1時間早く起きて夕食の下ごしらえをするようにもなりました。

その後、さらにもう一つ、大事な出会いがありました。通っていたジムが閉店し、新しいジムに移った先で、そこの支配人として赴任してこられた中沢智治先生のトレーニングを受けるようになったのです。これが、6年後の、最大の転機につながることになります。

次のページ
年齢を重ねることは何一つ障壁にならない >

THE21 購入

2024年5月号

THE21 2024年5月号

発売日:2024年04月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

ニッポン放送初の女性社長 檜原麻希氏が「休職」して得たもの

檜原麻希(ニッポン放送代表取締役社長)

「会社人生が終わっても、人生は続く」住友銀行の副頭取が選んだ“69歳での起業”

吉田博一(エリーパワー会長兼CEO)
×