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廃棄される食材を、形を変えて商品に。各社の取り組み

2021年10月29日 公開
2023年02月21日 更新

THE21編集部

「フードロス」は謳わず、フルーツ大福やスムージーに

凛々堂

丸ごとのフルーツと白あんを餅でくるんだ「金沢フルーツ大福」を販売する凛々堂。そのフランチャイジーである〔株〕Soffioneが運営する経堂店(東京都世田谷区)では、皮に傷がついたものなど、通常ならフードロスになってしまうフルーツを一部の商品に使用している。

「凛々堂の他店舗では取り扱っていないのですが、本部から特別に許可をもらって、大福に使えないフルーツを使ったスムージーも販売しています。例えば、マンゴーの種の周りの実は、美味しいのですが、筋があったりして、大福にするときは取り除きます。そうした部分を使ったスムージーです」(同社執行役員・小澤航汰氏)

同社の社長を務める薄井華香氏は高校1年生。実家は石川県金沢市で青果の仲卸業を営んでおり、幼い頃からフードロスに接してきたという。さらに、今春、高校への進学のために単身上京し、アルバイトをしたスーパーで捨てられるフルーツを目の当たりにしたことで、起業に踏み切った。

「起業と言っても、イチから事業を興すのは難しい。同じ金沢ということで、凛々堂から実家の仲卸業者に声がかかっていたこともあり、凛々堂のフランチャイズという形をとって、今年6月に経堂店をオープンしました」(小澤氏)

現在、スタッフは20人弱。1人を除き、大学生のアルバイトだという。社長の薄井氏は、週3日登校しながら、毎朝7時からの清掃に欠かさず参加し、閉店作業も必ず自ら行なっている。閉店後には、その時々に使う食材に応じて、スムージーのメニュー開発も行なっている。

「お客様には、報道などで知っている方もいますが、特にフードロスのことは伝えていません。フードロス対策だからと、値段も安くしていません。美味しいから買ってもらうのが、あるべき姿だと考えているからです。フルーツの仕入れ値も、安くしているわけではありません。農家に還元することが重要ですから」(小澤氏)

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