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読書を習慣にしても“時間の浪費”にしかならない人の特徴

2021年12月23日 公開

アバタロー(書評YouTuber、Book Community Liber管理人)

 

アウトプット前提のインプットの4つの工程

効率的な読書のもう一つのポイントは、アウトプットを前提に読むということです。

知識はインプットするだけでは身につきません。アウトプットできなければ、つまり人に説明できなければ、本当に理解したとはいえないのです。

そのために必要なのが、アウトプットの基本フレームワークです。私はそれを「情報の整理」→「情報の理解」→「情報の編集」→「情報の出力」の4つの工程に分けて考えています。

まずインプットした情報を自分なりに整理するのが第1ステップ。本を読むときは、重要だと思われる箇所や著者が強調したいところを見つけたら、どんどん線を引いて、メモを残していってください。

これを私は「自分の足跡を残す」と表現しています。「自分の足跡」があれば、情報を整理するとき、記憶だけに頼るよりずっと整理しやすくなります。

情報の整理ができたら、次にそれを理解するのが第2ステップです。整理した情報と向き合い、考え、解きほぐします。自分が理解していないと人に説明することもできませんので、この過程はとても重要です。

そして、それを人にわかるように編集するのが第3ステップです。せっかく自分がわかっていても、人にちゃんと伝えられなければ単なる宝の持ち腐れ。相手の心に響くよう、相手に合わせて情報を焼き直すことが大切です。

最後に、出力、すなわちアウトプットするのが最終ステップになります。ここまでの工程を踏めば、必ず「誰かに伝えたい」「試したい」衝動にかられるはずです。その熱い思いのまま出力すれば、キレのあるアウトプットになるでしょう。

なお情報をインプットする際、一つ注意したい点があります。それは「著者にとって大事な箇所」と「自分にとって大事な箇所」は違うということ。ここは明確に分けておく必要があります。そうでないと、いつのまにか著者の意見がそのまま自分の意見になってしまい、自分がなくなってしまうからです。

著者と自分は違う人間なのですから、意見が完全に一致するということは、極めて稀なこと。ですから、的確なアウトプットをするためにも、両者を明確に分ける情報整理術が必要になるのです。

私の場合、「著者にとって大事な箇所」には線を引き、「自分にとって大事な箇所」には付箋を貼っています。この付箋の数はなるべく少なく、3つほどに厳選するのがお勧めです。

この習慣ができてくると、周りの意見に惑わされずに、自分にとって本当に必要なものを見極める力が養われます。

 

アウトプットの相手は身近な人や自分自身でも

読書は常にアウトプットを前提に行なわなければなりません。しかし、肝心のアウトプット先がない、という話もよく聞きます。アウトプットする相手は、友人やパートナーでも構いません。ブログやYouTubeでもいいでしょう。自分自身に説明する「エア授業」でも構いません。

また、私もそういう方のために、ネット上で読書会「Book Community Liber」を立ち上げました。こうした「読書に特化したアウトプット環境」を利用するのも一つの手です。

とにかく、読書はアウトプットがあって初めて成立する行為です。そうでないと読書の効能はほとんど得られない、と言っても過言ではありません。

アウトプットはジムでのトレーニングと同じです。プロテインを飲むだけでは効果はほぼなく、ジムでしっかりトレーニングするからこそ、必要な筋肉がつき、理想の身体になれるわけです。

人に話す、ブログに書く、SNSで交流する。こうしたアウトプットの継続によって、知識は初めて生活や人生で使えるものになるのです。

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