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「このまま70歳まで働けるのか」 早期退職が頻発する時代に必須の考え方

2021年12月25日 公開

難波猛(人事コンサルタント)

 

「変化を楽しむ姿勢」が人生を切りひらく

リンダ・グラットン教授は『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)で「変身資産」を人生100年時代を生き抜く資産として重要なものと定義しています。

ダグラス・ホール教授が提唱し、日本では法政大学田中研之輔教授が『プロティアン』(日経BP)で広めた「プロティアン・キャリア」は、変幻自在に形を変える神プロテウスを語源として、組織に依存しない「変幻自在なキャリア」を実現するためのキャリア戦略・キャリア資本の重要性を説いています。

こうした変化するための資本の1つ「社会関係資本(Social Capital)」では、名刺ではない繋がりを有機的に広げていくことが重要になります。

「会社から言われたことだけを実直に行う」「会社に人生を預ける」という変化に目を背ける姿勢は、今後リスクになる可能性があります。未来の変化を見据えて、「自分がありたい姿」に近づくために「先んじて変化を起こす」「変化を楽しむ」姿勢が必要です。

「変化を楽しむ」ためには、「日常や仕事に、小さな変化を加える」などの取り組みも有効です。例えば、通勤ルートを毎回変える、仕事の進め方を見直す、違う人に会ってみる、社外コミュニティに参加する等、「変化することは、意外に楽しい」という経験を自分の中に積み重ねることで、新しいチャレンジへのハードルは徐々に下がっていきます。

 

「学習戦略」を考えることで、ミドルシニアに「学ぶ能力」がめばえる

「学び続ける力」に関しては、上述の「変化し続ける力」と対になっています。

新しい仕事や環境で成果を出し続けるためには、過去のスキルを取り崩すだけでは先細りになります。「将来を見越して、積極的・戦略的に学ぶ」ことは、業務命令で嫌々やることではなく、自分の人生を切りひらくための重要な行動です。

「Active learning and learning strategies(積極的な学習と学習戦略)」は、「The future-of-jobs-2018」というダボス会議でのレポートで、「今後の労働市場でトレンドになると予測されるスキル」の2番目に挙げられています。

ちなみに、1番は「Analytical thinking and innovation(分析的思考とイノベーション)」でした。総じて「自分の頭で考え創造する力」が求められています。

弊社マンパワーグループがグローバルで提唱している、変化の激しい働く世界において長期的な雇用を維持するために重要なスキルセットも「Learnability(学ぶ能力)」で、学ぶ意欲を自分でコントロールできる人の方が希望する仕事を獲得できる確率が高まります。

この手の「学び」についてミドルシニア社員に話をすると、

「この年になって新しい勉強はちょっと大変」
「では、何の資格を取れば食いっぱぐれないですか?」
「そういえば、本は年に2冊くらいしか読んでない」
「とりあえず、英語を頑張ります」
「会社のスキル研修はちゃんと受講してます」

…などのコメントが多く、いまひとつピンとこないようです。

ミドルシニアの学習には、「戦略」が必要です。漫然と「言われたから」「とりあえず」「面倒だけど仕方ない」「何となく」というスタンスで学んでも、学習効果が高まりませんし、本質的な能力開発に繋がりません。学習する分野・効果的な学習方法を、「自分の人生100年を切りひらく重要な取り組み」として真剣に考えることをお勧めします。

人間の記憶を司る海馬や前頭前野は、情報を「短期記憶」「長期記憶」に振り分ける機能があります。「興味がない情報」「生存に役立たない情報」は短期記憶化されやすく、「興味がある情報」「生存に役立つ情報」「出来事に繋がる情報(エピソード記憶)」は長期記憶化されやすいと言われています。

例えば、私は歴史が好きで、戦国武将の名前は100人以上を官名(真田安房守昌幸など)や逸話つきで覚えています。一方、興味が無い男性アイドルグループ等は、何度テレビで見ても顔と名前が一致しません。娘たちは真逆で、アイドルたちの細かいエピソードも記憶していますが、戦国武将に興味はありません。

仕事に関しては、私は「キャリア・心理学・脳科学・組織論」などは興味があり仕事でも使う機会が多いため、本を読むとスッと頭に入ります。一方、プログラミング言語や社会保険などは、同じ日本語でも文章が頭に入ってきません。

ミドルシニア社員の学習戦略としては「好きで、できること」「仕事(またはプライベート)で使う機会があること」と関連する領域から学習の幅を広げていくと、長期記憶化されやすく学習効果が高まります。嫌々で仕事に関係ない資格取得を目指しても、残念ながらほぼ意味がありません。

「この分野の仕事や知識なら、興味が持てる」という分野を見つけて、学習を始めてみましょう。現在の学び方は多様化していて、手軽なものも増えています。

読書・SNSで発信(Facebook/Twitter/LinkedIn)・コミュニティに繋がる・朝活や夜活・オンラインセミナー・動画メディア(YouTube/Facebook Live)・音声メディア(Podcast/Clubhouse)・eラーニング・リアル研修等。

自分にあった学び方を試してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、私は47歳ですが、上記すべて大なり小なり利用しています(自慢ではなく、「自分がやってないこと」を紹介するのは卑怯な気がするので)。

特に、「インプット」だけでなく「アウトプット」を意識して学んだことを発信・利用する機会を組み込むと、学習効果が飛躍的に高まります。

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